【67日目】マレーシアでタコ釣り体験。結果はいかに。
僕らがマレーシアで滞在していた家の前の海は引潮になると歩いていける島ができる。島と言っても1日1度顔を出すだけなので、海底が姿を表すと言ったほうが正しい。
ある日、それを眺めていたところ、家の人が「あそこはタコが取れるんだ」という。たしかに下を見ながら歩く人を何人も見た。みんなタコを取っていたんだ、と気付く。ならば僕らもやってみたい,と言うと後日、道具を用意してくれた。ありがたい!
芋虫
ここのタコ釣りで使うのは芋虫だ。ちなみにこの芋虫は僕らも食べたが、うまかった。生の映像はえぐいので、僕らに食べさせるために焼いてくれている画像を。
たこ釣り
タコの釣り方はシンプルだ。棒の先に芋虫を縛り付け、その棒をタコがいるであろう穴に静かに突っ込む。タコがいれば、芋虫を食おうとするのが感触で分かるので、ゆっくりゆっくりと引き出す。そしてつられて出てきたタコを別の棒で突き刺す。釣りというより、狩りと言ったほうが近い。
さて釣り方の理屈も理解したし、僕らもさっそく挑戦だ。釣れれば今晩のおかずは新鮮なタコ。一瞬頭の中で塩辛の香りがよぎり、より一層真剣になる。
道具を用意し、まずはタコ穴を探す。これは割と簡単で歩いていればすぐに見つかる。まずはベテランのアンティ・アナという女性が見つけて辛抱強く待つも、タコの気配なし。
アンティ・アナのやりかたをジッと見て学ぶ。「ナルホドナルホド、コレは簡単だ」と僕たちも穴を探して、芋虫のうごめく棒を突っ込んだ。
棒からピクッと反応がある。
「タコがいる!」
棒を少しずつ引き出すと、ついてくるのが感触で分かる。どことなく塩辛の香りが漂うような気さえする。なんとしても1匹目を釣り上げたい。そんな思いで頑張る。タコの反応はあるもののいざ引き寄せようとすると、姿を見せることなく素早く穴に戻ってしまう。それを延々繰り返して、ある時ようやく一瞬だけ姿を表した。が、姿を現したのはエビかザリガニのようなもの。タコじゃない。もしかして、僕たちは間違えて延々とエビだかザリガニだかと格闘していたのだろうか……。タコ穴だと思っていたのはエビの巣だったのだろうか。未だにタコ穴とエビの巣の区別がつかない。
なんと家の主は1匹釣っていた。よかった。
後ほど、このタコは調理されて僕らの胃に収まった。うまかった!
さて、この場所、タコの釣り場として有名らしく、僕ら以外にも何人か釣りに来ていた。といっても日本で言う「スポーツフィッシング」としてではなく、今晩のおかずとして釣りに来ているようで、日本人からすると意外だが、女性が多いのだ。僕らが出会った人たちが特別なのか分からないが、マレーシアの女性は本当に強く逞しい。
僕らはボウズ(何も釣れなかったことを指す)だったものの、みんなとこうしてタコ釣り体験ができたことは本当に楽しかった。
――塩辛がタコじゃなくて、イカだったことは後で思い出した。