【78日目】インドネシア人・ドイツ人とスラウェシ島で過ごす数日間

「明日はLalosビーチに行って、明後日は船を出してあそこの島に行こう」

インドネシア人のサムがそう言って、僕らもToli-Toliで知り合ったドイツ人カップルのレオナとフィルも迷うことなく提案に乗った。何しろ自由気まま、無計画、節約旅をしている僕らのようなバックパッカーにとって、現地の人と交流が持てて、お金もかからずにビーチに行ったり、島遊びができるなんて信じられないほどありがたい提案なのだ。

「それじゃ明日は10時に僕の家に集合でいいかな?」
「もちろん」

サムの家の周りは猫犬鶏がたくさん

サムの家の周りは猫犬鶏がたくさん

翌朝、ほぼ時間通りにサムの家に行くと、その友だちや家族が玄関先でのんびりと時間をつぶしていた。僕らも彼らにならい、近くに座って時間をつぶす。入れ替わりで友だち、近所の人、家族などがやってきては僕らと写真を撮ったり、身振り手振りでコミュニケーションを取りつつ、笑いあう。

「何時頃ビーチにいく?」
「ちょっと待ってて」

何度かこの会話が繰り返されるが、ビーチにいく準備をするわけでもなく、のんびりとしている。12時を過ぎたあたりで、改めて「今日はビーチに行くんだよね?」と訊ねると「そうだね。――バイクがいい? 車がいい?」と聞き返される。「2時間待ってそこからか」と思いつつも、「やっぱり暑い国はのんびりしているんだな、日本人が時間を意識し過ぎているのかもしれない」と自戒する。レオナに目を向けると「彼らのペースに合わせるしかないね」と苦笑い。時間を意識しているのは日本人だけではなかったようで、意味もなくひと安心。

原付バイクでLalosビーチへ!

原付バイクでLalosビーチへ!

そんなこんなで、Lalosビーチに行き、そこが凄くきれいな透き通った海だったことで、暑さも忘れ長々とはしゃいだ。途中、みんなが何かに刺され、それがクラゲでもなく、未だになんなのか分からないという、ちょっとした気持ち悪さは残ったものの、この数日、移動、移動と疲れていた僕らには最高のリフレッシュになった。

きれいだったな〜Lalosビーチ

きれいだったな〜Lalosビーチ

翌日は彼らののんびりとしたペースに合わせて、僕らも少し遅めにサムの家に行った。彼らは昨日と同じように人が入れ替わりしながらのんびりと時間をつぶしている。

「今日は船が都合つかないから、明日にしよう」

12時を回ってからサムが言った。レオナとフィルと僕らは顔を見合わせて、少し相談する。もともとToli-Toliに長居する予定はお互いなかった。なんとなく頭にあった予定としては同じスラウェシ島のGorontaloかManadoに行き、トレッキングやスノーケリングなどをやることを考えていた。Toli-Toliはあくまで中継点だ。このままダラダラと現地の人と同じペースで長居することもなんとなく嫌だった。

お互い相談して、もし明日も船に乗らないようだったら、その翌日には出発した方が良いかもね、となんとなく確認しあい、明日を待つことにした。この日、フィルの体調不良と、島行きがなくなったことが重なって、ここぞとばかりにサムの台所を借りて自炊。フィルとレオナはパンプキンスープとトマトサラダ、僕らは味噌野菜炒めを作って食べた(この話については「味噌玉世界旅のインドネシア」を参照)。

翌日になってみれば、島行きはちゃんと実現し、僕らは旅に出てから伸ばしっぱなしの羽を、更に伸ばして遊んだ。島の村長に挨拶をし(これは任意ではなく、必ずしなければならないルールがあるので注意)、あとはビーチで読書、海で泳ぎ、疲れて昼寝、といういかにも贅沢な時間を過ごした。ようやくインドネシア人のリズムに少し慣れたように思えた。

子どもたちは僕らから少し離れて、こちらをチラチラ見ていた。

子どもたちは僕らから少し離れて、こちらをチラチラ見ていた。

島の小さな村

島の小さな村

島のビーチ。釣り船多し

島のビーチ。釣り船多し

僕らはこの数日間でドイツ人カップルから何度となく小さな「お願いごと」を引き受けていた。1つ1つは「テーブルの塩とって」といった些細なことだが、「今日1日帽子貸して」とか「ズボン洗っているから君のを貸して」など、時々頭を傾げるような「お願いごと」が現れる。気持ちいいくらいにはっきりと要求する。

日本人ならば――と国で括ってしまうことは少し危険ではあるけれど――「お願いごと」をすることは借りを作るようなイメージがあるのか、自粛したり、遠慮することが多いと思う。そのかわり「暗に」なにか要求することが多い。そのかわり、お願いごとを断らない傾向も多い。断るのは無礼だと思ってしまうのか、引き受けつつ、小さくストレスを感じたりすることも多いのではないだろうか。

一方で欧米人は「お願いごと」をして、相手がOKと言ったのであれば、ストレスなく引き受けてくれたと理解するようで、少しでも嫌なら「嫌だ」と断って良い文化なのかもしれない。実際、断ってもまったく嫌な顔ひとつしなかった。

このエピソード1つ取り上げて、「欧米人は――」「日本人は――」と語ることはできないが、少なくともここまで旅をしながら実感している「助けが必要なときは人にお願いし、嫌なことは断る」というスタンスを改めて再確認できたような気がするのダ。

断る技術。お願いする技術。

旅を終えて手に入れるものって、意外とこういうものなのかもしれない。

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