【103日目】インドネシア銀行を散策してみた
〈Bank Indonesia〉というバスの停留所名を見たとき、僕らはその雰囲気から勝手に連想して、その場所を〈インドネシアの虎ノ門〉と名付け、後日わざわざ散歩しに行った。
日本銀行といえば、1896年に建設された古く伝統深い建築物を本店として持ち、日本橋という東京に来た外国人観光客が行きたくなるような場所にある。それならばインドネシア銀行だって、それに近い文化的な美しさなど、なにか見所があるかもしれないと何の根拠もなく期待した。
僕らの宿泊していたジャラン・ジャクサからはBank Indonesiaまでは徒歩15分もあれば着く。そうでないエリアからでも〈トランスジャカルタ〉というジャカルタでは主要交通手段であるバスに乗れば、Bank Indonesiaという停留所があるので、簡単に辿りつけるはずだ。しかも料金一律3,500Rp(35円くらい)なので、お手頃。
この〈トランスジャカルタ〉だが、日本のバスと違い、乗る前に停留所でチケットを買う。その際に行き先の停留所名を伝えれば乗るべきバスの名前を教えてもらえるので、外国人でも乗りやすい。タクシーなどのようにボッタクられることもなく、それどころか最安値の交通手段だろうと思うので、ぜひ利用したい。その他にもバジャイという三輪タクシーが非常に多く、うまく交渉すれば安く移動できる。が、外国人は高くふっかけられるので、現地価格を事前に調べておこう。
インドネシア銀行に辿り着くまでもなく、思い知らされるのはその車の数。とにかく多い。調べてみるとなんと「2011年には車両の占有面積が道路の面積そのものを上回る(by Wikipedia)」という情報もある。あまりの車の数に「three in one」ルールというのが導入され、時間帯によっては3人以上乗車していないと通れない道路があるらしい。どうしてもその道を通りたい人のために「金をくれたら乗ってやる」というビジネスもあるらしく、なんともよく考えたものだ、と感心してしまうほど。
たどり着いてみると、やはりBank Indonesiaのビルは高い。さすがに中に入ることはできず、外から眺めることしかできないが、入口付近の古そうな建築物の横に近代的な高層ビルが並ぶ。
こうして適当に散歩してみたが、ここジャカルタは大都市とはいえ、もともとは僕らがスラウェシ島で見てきたような小さな町が加速度的に大きくなった町だなと感じた。というのも、何もかもが都会化されているわけではなく、屋台や路上販売などの仕組みや雰囲気が田舎町のそれと変わらないのだ。東京では下町とオフィス街のように東京内部でも別れて共存している印象だが、ここジャカルタではすべて混ざって際どいバランスの中で共存しているように見える。
人口が急激に増え、車が急激に増え、文化や仕組みが付いてこないままに大都会化したのかな、と思うとこの大都会も感慨深く見えてくるものだ。