【141日目】世界を横切る道、アジアンハイウェイをひた走る
アジアンハイウェイという言葉を聞いたことがあるだろうか? ないとしたら本当にもったいない。その名前の通り、アジアを横切る大規模ハイウェイだ。しかも、そのアジアンハイウェイ1号線の起点は我らが東京の日本橋である。そして、日本橋から伸びるその道は海を越え、韓国へと渡り、僕らが今いるタイも通りつつ、その終端はトルコになる。
↑Wikipediaより
ルートはまったく異なるが、現代のシルクロードとさえ思える、その世界のハイウェイの知名度は低い。
僕らは偶然ではあるけれど、バイクで走ったコースがこのアジアンハイウェイだった。バンコクから古都アユタヤに向かい、その後ミャンマーとの国境があるメーソットへと向かう道がすべてアジアンハイウェイ1号線だった。
バンコクから出た最初の道は本当に都会の混雑路だ。延々とバス・トラック・自家用車が土煙をあげて走って行く。ただでさえ埃っぽい都会の空気が、まるでモンゴルの砂漠にでも迷い込んだように、一層強い埃に覆われる。
しかしそれもアユタヤまでいくと随分と変わってくる。車の数が減り、道路沿いの商用施設も減り、徐々に道は森の中へと入っていく。そうなるとただのアスファルト臭いハイウェイは極上のツーリングコースに変わる。
時々僕らを追い越す大型トラック――日本ではあまり見かけない連結式の”超”大型トラック――さえ気をつけていれば、車も少なく、1時間に1回みかける小さな村の風情を楽しむことができる。
ミャンマーとの国境にあるメーソットという町に着く直前、僕のバイクがガス欠した。もう動かないバイクを目の前にしてもなぜか落ち込むことも、慌てることもなく「お! ガス欠した!」と笑うくらいの余裕がある。本当に精神的なタフさは身についたように思う。
通りすがりのバイク乗りに助けを求めると、少し先にガソリンスタンドがあるから、と僕を乗せて連れて行ってくれた。
連れて行ってくれた先は数km先にあるガソリンスタンド。そこでガソリンをペットボトルで買い、Miaが待つ道まで戻る。10~15分で戻るつもり、思ったよりも遠く30分ほどかかり「心配しているだろうな」と思いながら、到着。Miaが蹲って座ってた。
助けてくれたおっさんが去ると、Miaが自分のバイクを指さす。ミラーが割れ、ブレーキペダルが折れている。
「どうしたの!」
「バイク動かそうとして、倒しちゃって、壊れちゃった」
本当に怪我がなくて良かった。幸い、町は遠くない。近くのホテルに泊まって、バイクのことは明日考えよう。