【145日目】バナナの葉の煙草を咥え、老後をタイで過ごすT氏と出会う

旅で出会う人はどうしてこうもすてきな人たちなんだろう。自分の中で揺らぎながらも思っていた理想の1つを体現したような、すてきな人に出会わせてもらった。

2013年11月5日

T氏とは昨日会うはずだった。

T氏が住むメーラノイという町まで僕らはたどり着けなかった。手前30km地点で日が暮れて――タイの山奥で日が暮れるというのは、本当に恐ろしいほどの暗さを意味する――、諦めて見かけたボロ宿に泊まった。

事前にT氏のことで知っていたことと言えば、住んでいる町がメーラノイであり、昔は船乗りで、今はタイに住む日本人であるということだけだ。久々に会う日本人だと僕らも凄く楽しみにしていた。

メーラノイの小さな町の病院前で僕らは待ち合わせた。T氏はタイ人の恋人を連れて、迎えにきてくれた。

彼の家はメインの通りから1本路地に入った場所にある。先生ばかりが住むという長屋に住み、家の前にはバナナ・マンゴー・パパイヤといったフルーツの木が並ぶ。

自己紹介をしながら彼は煙草に火をつけた。長さは普通の紙煙草の3倍はあり、ひと回り太い。いわゆる葉巻に見えるが、僕が知っている葉巻とも色が違う。尋ねると、T氏は嬉しそうに説明してくれた。

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煙草の葉をバナナの葉で巻いている。ファーマーズシガーと呼ばれ、畑で働く人が、ゆっくり長く吸える煙草らしい。煙草の葉とバナナの葉を買い自分で巻く。MiaがT氏の恋人に作り方を教わっていた。その横で男ら2人は煙草を咥え、煙草談義。キューバに行って、キューバンシガーでも吸いながらモヒートを吸いたいね。そんな話で盛り上がっていた。

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T氏は若い頃は船乗りをして、客船に乗って世界各地を回っていたらしい。今は引退し、タイに住んでいるというわけだ。仕事をしているわけではない。時々町に行って、日本語の本を山ほど抱えて帰ってくる。そして家の外のリクライニングチェアーで1日に1冊も2冊も本を読む。もちろんファーマーズシガーを咥えて……。そして数日に1度、自分で作ったマンゴーなどの畑を手入れしに行く。まさに晴耕雨読とも言える生活だ。まぁ、乾期に雨など降らないのだけど。

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70歳にもなるT氏は最初から最後までぼくらに対して敬語だった。僕らのことを心配し、応援し、回りの先生にも紹介してくれた。つくづく優しい人だった。

T氏は来年はキューバに行きたいと思っているらしい。僕らも時期は未定だが、行くつもりだ。もしキューバで彼と再会できたら、最高だなと思う。

僕らはお互い読み終えた本を交換しあった。そして手元にあったファーマーズシガーを全部くれた。

旅の醍醐味は出会う人にある。それを痛感した。

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