【154日目】世界一周しながらできる親孝行
自分の母親が趣味でビーズを使ったアクセサリーなどを作っている。母親のためにここチェンマイでビーズを買うことにした。
2013年11月14日
チェンマイの街は、日本でもそうであるように、場所によって並ぶ店の種類が違う。カフェが多い場所、食堂が多い場所、土産物屋が多い場所……。どこに行くわけでもなく、そういう店を冷やかしながら歩いていた。
とある、人通りの少ない交差点にある店のディスプレイに僕らは気が付いた。ビーズのアクセサリーが並んでいる。ふらふらと中に入ると、アクセサリーなどの既製品は窓際だけで、あとはバラバラのビーズを素材として販売している。
「好きな人にはたまらない」とはこういうことを指すんだろう。とにかくあらゆる種類のビーズが並んでいる。橙、青、赤、白、黒、黄色、と数え切れないほど色とりどりで、大きさも目を細めないと見えないような小粒から、ビー玉よりも大きい大粒まで多様だ。値段にしても、束で数百円から1万円近いものまである。
問題は僕らにはその善し悪しが分からないことだ。
それでもどうにか数本を選び取った。
1本250バーツ(約750円)のビーズを5本手に取り「1000バーツにして」とお願いしてみると、1秒とかからず即答で「いいよ」と言う。あまりに簡単に値切れると、値切ったのに損した気になる。もっと安くできたんじゃなかろうか、と。
こういったビーズというのは、僕らはまったく詳しくないのだが、ようするに石だ。つまり宝石だ。せっかくタイにいるのだから、と、タイ特有――しかも安い宝石がなかろうか、と調べてみると、ミャンマーとのつながりを見つけた。
タイの隣国ミャンマーはルビーの主要原産国である。そして、そのほとんどはタイに輸出されているらしい。そしてどうやらミャンマーのルビーは品質がよいという。
しかし、こういう良い話の裏には、悪い話もある。
ミャンマーの採掘は国営であり、その労働環境がよくないらしい。国はその採掘場所を観光地として利用しておきながら、労働者が政府について外国人に語ったりすることを禁じているというじゃないか。
そもそも採掘という行為自体が楽なものじゃないので、労働環境が良いことなんてあまりないのかもしれないが、こうして知ると、あまり良い気はしないものだ。
僕らが手に取ったのはUmakiteという石。それがなんなのかは分からない。ルビーは高すぎて買えないので、不買とかそんなことを考えるまでもない。
買ったビーズはその足で郵便局から送付した。
うまく届いたのだろうか?