【191日目】瞑想特集3:Vipassanaの規則と生活
ここまで退屈な理論と歴史の話が中心だったので、ここらで具体的な話に入ろうと思う。
規則
まず、修行に参加するにあたって、いくつかの戒律を守る必要がある。
- 生き物を殺さない
- 嘘をつかない
- 酒やドラッグを飲まない
- セックスをしない
- 盗まない
まァ、全うに生きている人なら特に問題はないだろうと思う。一応「殺さない」というルールがあるので、食事はベジタリアンフードになるが、それは全く問題にならない。なにしろ美味しかったから。
これに「Noble Silence = 厳正な沈黙」というルールが加えられる。Noble Silenceとは言葉のコミュニケーションはもちろん、アイコンタクトやボディランゲージ、手話、などいかなるコミュニケーションもとってはならないことを意味する。読書もネットもダメ。これらは全て「インプット」という意味でコミュニケーションである。メモや日記もダメ。これらも全て「アウトプット」というコミュニケーションなのだ。要するに10日感、誰ともコミュニケーションはなく、いかなるインプットもアウトプットもなく、ひたすら自分とだけ向き合え、というわけだ。
1日のタイムスケジュール
さて、1日の予定を簡単に紹介しよう。
4:00 | 起床 |
4:30-6:30 | 瞑想 |
6:30-8:00 | 朝食 |
8:00-11:00 | 瞑想 |
11:00-13:00 | 昼食 |
13:00 – 17:00 | 瞑想 |
17:00 – 18:00 | お茶の時間 |
18:00 – 19:00 | 瞑想 |
19:00 – 20:30 | 瞑想についての講話 |
20:30 – 21:00 | 瞑想 |
21:30 | 就寝 |
瞑想と食事と睡眠に分けるとこういう分布になる。
見てもらえば分かるが、寝るか、食べるか、修行かのどれかであり、遊びの時間はない。まぁ、食事なども黙って食べるだけだから、あっという間に食べ終わり、まとまった休憩時間があるのだが、やることはまったくない。
寝る時間について
ブッダガヤにあるVipassana Meditation Centerは全員個室を与えられる。後で聞いたところでは、これは恵まれているらしく、世界中にある他のMeditation Centerではドミトリーがほとんどらしい。
21:30 に就寝だが、電気が消されるわけではない。個室なので起きていたければ起きていてもいい。といっても1日の瞑想の疲れですぐ寝られるし、たまに寝られないようルもあったが、かといってすることもない。時々外に座って星を眺めていた。
食事と休憩について
食事は前述の通りベジタリアンフードである。だが、本当においしいので、ストレスは感じない。
朝食はいわゆるオートミール的なメニューが中心。それにリンゴやバナナが加えられる。そしてチャイだ。
昼食は野菜カレー、またはカレー味の野菜炒め的なものとチャパティかご飯。それにヨーグルトがつく。
夕食はないが、僕らのように初めての参加者は米を揚げたようなお菓子とチャイが出てくる。2度目以降の参加者はレモンジュースかジンジャージュースのみ。
ビュッフェ方式で、食べたい分だけ取れば良いので、量に関するストレスもない。チャイは人気があり、みんなおかわりするので、後半はだいぶ少なくなるが、それでもなくなることはなかった。あの甘いチャイが本当に疲れを癒やしてくれるのだ。修行の最後の日に「あのチャイがあったから10日間がんばれた」と言っている人がいたが、まったく誇張ではないと思う。
食べ終えると、銘々部屋に帰っていく。体を洗ったり、洗濯をしたり、適当に用事を済ませるが、それでも時間はありあまる。敷地から出ることも禁止なので、敷地内の庭を歩いて花や鳥を観察したり、飛んでいる蝶を眺めていたりした。それでも時間が余るので、筋トレとにわか仕立てのヨガに励んでいた。
瞑想について
本題の瞑想だが、これについてもひたすら1人だ。先生があれこれ教えてくれるわけではない。毎日1つなにかを教わり、それを1日がんばるのだが、その教えというのも「呼吸を観察しなさい」「鼻と上唇の間のスペースの感覚を観察しなさい」という簡単なもの(実際には丁寧に丁寧に説明してくれるので説明はそれなりに長い)。
例えば朝の4:30から始まる瞑想であれば、4:30に勝手にホールに集合し、勝手に全員が座り、瞑想を始める。開始のチャイムがあるわけでも「さて、瞑想を始めなさい」という合図もない。それぞれが自分で勝手に開始する。
まとめ
さて、規則と1日のスケジュールについてはこれくらいだが、もし始めようとしている人がいるならば、1つ理解してほしいのがこういった規則やスケジュールは何ら辛くないということだ。10日黙っているのも全然辛くない。食べ物も辛くない。夕飯がないのも辛くない。どれもこれも1日で慣れる。
唯一大変なことは瞑想だ。腰は痛い、膝は痛い、集中力は途切れる。自分と向き合い続けるのは本当につらい。
難しいのは自分を攻略することだ。