【192日目】瞑想特集4:10日の流れ(前編)

10日間の瞑想の流れを紹介しよう。今回は最初の5日間。

0日目

集合の日。17時までに手続きを済ませ、貴重品やパソコン・携帯電話・本など、すべてのインプット・アウトプットできる持ち物を預ける。コミュニケーション禁止のルールが開始されるのは19時頃の説明会が済んでから。

軽い夕飯が出た。

夜に少しだけ瞑想をする。指示は「自分の自然な呼吸を観察しなさい」というもの。やってみると難しい。というのも、呼吸を観察しようとすると、つい呼吸をコントロールしてしまう。つい速まったり、強くなったりして、自然な、無意識な時の呼吸とは違ってしまう(理系の僕は「観察すると変化する」という性質から、「呼吸はまるで不確定性原理みたいだ」と感じた。まァ、これは余談だ)。

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一緒に瞑想した仲間たち

1日目

昨日に引き続き、呼吸を観察する。夜くらいになって「呼吸そのものではなく、呼吸が鼻を通るときの感覚を観察せよ」と指示される。

長時間やっていると、いつのまにか全然違う考え事をしてしまう。そのたびに呼吸に意識を戻す。これを何度も繰り返す。先生曰く、この「雑念 → 呼吸」へと意識を戻す行為自体が修行であり、訓練だから、雑念が浮かぶは悪いことではないとのこと。

”雑念” というのは、要するに考え事。”考え事” というのは必ず過去か未来のことである。そして呼吸というのは唯一人間が観察できる現在のことである、という。過去に済んだことを悔やむのでもなく、まだ起こってもいない未来のことに翻弄されるのでもなく、今を見つめるというのが、この瞑想の本筋らしい。

ところで、部屋の隅にトカゲを発見する。なんだか友達ができた気分だった。いつも同じ場所にいるので、暇になるとこいつを眺めていた。

2日目

より狭い範囲に意識を集中するという目的で、鼻と上唇の間を観察せよ、という指示。呼吸が行き来するときのむず痒さや暖かさ、冷え、などの感覚を観察する。

2日目となり、それなりに疲れてくる。腰も痛くなってくる。

瞑想が始まる4:30はまだ真っ暗なのだが、その真っ暗闇を一言も言葉を発しない参加者がぞろぞろとホールに向かっていく光景は異常だ。しかもあまりの寒さで、みんな毛布を頭から被っている。亡霊のようだった。

3日目

変わらず「鼻と上唇の間」を観察し続ける。とにかく腰や膝の痛みとの戦いだ。周りの人たちも言葉を交わすことはないにせよ、同じ苦労と闘っているのはすぐに分かる。

瞑想の合間に5分休憩などがあるのだが、みんなその時間になると外でストレッチを始める。あたかもマラソンに参加する前のランナーのようだ。膝を伸ばし、腰を伸ばし、ひと口水を飲み、トイレに行く。万全の準備をして、次の瞑想に挑む。

瞑想者はアスリートだ! とそのとき思った。

夜になり、指示が少し変わる。

「鼻と上唇に向けていた意識を、そのまま頭のてっぺんに移す」

頭のてっぺんに感じる感覚を観察する。眼をつぶったまま、ジッと観察していると、頭のてっぺんがぼんやりと暖かく、というか、痺れるような感覚がしてくる。同時にこの頃になると、頭の中が冴え渡るような感覚もしてくる。

一方で、油断するとすぐに雑念が浮かぶ心の弱さに嫌気が差す。他の人はどうなんだろう? とひたすらに疑問に思うが、先生曰く、みんなそうだ、ということ。

夜、疲れているが寝れなくなる。あまりに頭が冴えている。本でも読むか、日記でも書きたい衝動に駆られたのはこの頃。それは許されないので、外に座って星を眺めた後、トカゲを眺める。触ろうとすると逃げていく。自分の心のようだ。

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ベトナムから来た尼僧。こういった僧侶も同じ修業に参加する。

4日目

「今日からVipassanaです」

この台詞でびびる。後で聞いたら、みんな驚いていた。この3日間にやっていたのはVipassanaを始めるための準備らしい。細かい指示は省略するが、頭のてっぺんを観察していたのを、今度からは意識を動かしながら全身を観察していく。頭、顔、首、腕、などなど。

体の隅々まで観察し、ぼんやりと感じる感覚を確かめていく。

また別の指示が出る。瞑想には先生も同席するグループ瞑想と、先生がいない個人練習のような瞑想の時間がある。グループ瞑想は1日3回各1時間ある。このグループ瞑想については「体を動かすのも、目を開けるのもダメ」らしい。手を1つ動かすのもダメ。

ハッキリ言って無理。腰の痛さが最高潮。腰の痛みが広がって、胸まで痛い。30分だって耐えられない。1時間は耐えられないので、時々静かに体を動かす。それでも痛みはなくない。こっそりと目を開けると、前の人もモゾモゾと動いている。そんなことを確認して安心している自分に嫌気が差す。

今頃Miaはどうしてるんだろう? と何度も思った。男女は生活エリアが完全に切り離され、瞑想をするホールだけが、同じ部屋である。ただし、ホールへの入り口も男女で異なり、部屋の中でも越えちゃいけないラインがあるので、顔を合わせることはない。時々視界に入り「あ、Miaだ」と気付くことはあるので、生きているのは分かるが……。

5日目

生活リズムは完全に体に染みこんで、朝は4時前に自然と起きるようになる。起きて顔を洗い、歯を磨き、軽く体を伸ばして、ホールへと向かう。トカゲは朝も必ずいる。あまりにもいつもいるので、出られないのではないか? と心配し始める。

瞑想は昨日と同じ指示。体の痛みは消えない。みんな同じことで苦しんでいるようで、質問時間に痛みについて聞きに行く人が多い。先生はそれに対して「誰でも最初は痛い。まだ体も心も瞑想に慣れていない。瞑想を続けて、高い集中力と心の浄化が進むことで痛みは気にならなくなる」と言う。

「んなことあるか! 体が欲しているのは心の浄化じゃなくて、1日の休憩だ!」

と半分冗談、半分は本気で内心悪態をつきながら聞いていた。

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苦悩の5日間、と僕はこの5日間を呼んでいる。

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