【221日目】日本人のインド式結婚式:そこにターメリックを塗るの!?
日本人カップルのヒンドゥー式の結婚式が本格的に始まった。身体への装飾、宗教儀式、村人たちの強い好奇心に僕らは惹き付けられると同時に翻弄されるのだった。
2014年1月19日
今回、結婚式は3日間かけて行われることになっている。通常のインド人だと5日くらいだと言われたので、若干短めにしているようだ。とはいえ、日本なら数時間で済ませるのだから、比にならない長さだ。
21日が最終日であり、メインの結婚式となる。人を招待して、派手にやるのはこの最終日であって、それまではもっと静かな儀式が順次行われる。普通は家族や近所の人だけでやるのかもしれない。
「僕らも手伝いますよ」
と訳も分からず手を上げた僕らにやってきた仕事は “招待状の用意”。今ごろ招待状の用意なの!? 21日に来てもらうのに、19日に用意って……。ここら辺がインド人だな。ともかく印刷は出来ていたので、僕らは手分けして折っては封筒に入れる。
出来上がった招待状はこんな感じ。
さて、招待状が落ち着くと外に連れ出された。
「肌弱くない?」
新郎新婦は式を取り仕切っているシッダールタさんに尋ねられる。「大丈夫ですよ」と2人が答えると、村の女性たちが新郎新婦にターメリックを塗りたくり始めた。周囲にターメリックの香りが漂う。
昨日、ヘンナで模様付けした上からターメリックが塗られて、キレイなものだ。
そして、足にもターメリックが塗られ、赤い色素で更に模様付け。
ヘンナとアンクレットとターメリックで不可思議ながらも艶やかに彩られていく。とにかくスパイスらしい香りが漂って、見ているこちらも神秘的な空気に飲まれていく。
素敵でしょ。
村人が――特に女性たちが集まって、日本人の儀式を見守る。彼女らは最初から最後までずーっと見ていた。途中、日本で言う民謡のような歌を歌ったり、重要な役割を担っていた。
なぜか僕らも新郎新婦の顔にターメリックを塗るのをお手伝い。
村の女性たちが集まると言うことは、子どもたちも集まるのだ。暇を持てあました子どもたちにカメラを向けると、喜んでポーズを取ってくれる。シャッターを押すたびに「見せて見せて」と駆け寄って、満足できないと「One more」とまたポーズを取ってくれる。疲れた。
こうして、昼の儀式は落ち着き、しばし休憩となった。
実は新郎新婦は昨日からお風呂禁止……。つまりヘナやらターメリックやらを塗りたくった身体をメインの21日まで洗えないのだ。手足も顔もターメリック。そのまま煮込んだら良い味が出そうなほどの、下ごしらえだ。注文の多い料理店を思い出す。
陽が暮れると、また歌や宗教儀式が始まる。老女が大量に集まり歌を歌う。そしてヒンドゥーのお坊さんらしき人が来て、さらに顔に何かを縫ったり、祈りを上げたりする。僕らも坊さんの指示で新郎新婦に米をかけたりする。どさくさに紛れて僕も顔にターメリックを塗られたり……(あれは儀式じゃなくて悪のりだ!)。
丸っこいのはお団子。いわゆるスイーツらしい。どこからかお金が投げ込まれ、それも手に置かれた。この状態で、お坊さんの祈りを聞き続ける。
こうして本格的に結婚式は始まった。
同じ日本人だという理由で僕らはいろんな手伝いに参加させて貰えた。超参加型の結婚式だ。
「君らも結婚式をやってないんだろう? インドでやりなよ」
この台詞を何度言われただろう。
「来年は君らだね!」
「ははは」と笑ってごまかす僕ら。
「絶対だよ!」
適当に受け流しつつも「それも面白いなァ」と思ったりした。