【239日目】21ルピーの軽食と郷愁の街トリヴァンドラム

一見するととにかく忙しい街トリヴァンドラム。僕らが好きになるタイプの街ではなかったし、実際好きではないはずだけど、あるチャイ屋のおかげで今では郷愁さえ感じるのだ。

2014年2月6日

このブログで何度も書いているが、旅先で、特に長旅の途中では、“行きつけの店” を作るのが大きな楽しみなのだ。カフェでもレストランでも、なんでもいい。「ヨッ!」声をかければ「ヨッ!」と返してくれる関係ほど気持ちの良いものはない。

さて、ビルが建ち並ぶ大都会トリヴァンドラムで、そういう店が見つかったのかと言えば、Yes。それもあっという間に見つかったのだ。

場所は駅から歩いて15分くらいだろうか。あとで分かったが大学の分校近くの大通りに面している。

実のところ、その場所を知ったのはトリヴァンドラムにやってきた朝だ。陽も昇らないうちからホテルを探し、僕はひとりトリヴァンドラムの街を走り回っていた(大荷物を持ってのホテル探しは大変なので、Miaには荷物番をしてもらっていた)。

朝早すぎて、店はどこも開いていない。道のあちらこちらでゴミを燃やす火がくすぶっている。プラスチックの燃える匂いがする。北インドであれば「ゴミ収集・掃除をするカースト」の人が行き来する様子が見られただろうが、ここではそういう人は見当たらない。ただうっすらと明るさの朝焼けの中で、誰もいない道に点々とのろしのように煙が上がっているのが見えるだけだ。

人だかりがあった。

覗いてみるとチャイ屋だった。額に日本国旗のような模様をつけた寡黙なおじさんと、いかにも人のいい顔をした店主が取り仕切っている。額の模様はこの辺ではよく見かける物だ。何らかの宗教のひとつだろうと思う。

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向こうに見えるのが、額に日本国旗のような模様をつけたおじさん

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気のいいおじさん。いつも「ヨッ!」と声をかけてくれた。

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これがチャイとバナナブレッドと僕らが呼ぶ揚げパン。おいしかったなァ。

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チャイと軽食を売っているだけの店だけど、いつもこんな風に人だかり。

この時はホテル探しにいっぱいいっぱいだったから行かなかったが、ホテルを見つけた後で行ってみた。チャイとVadaと呼ばれる軽食を売っている。それとは別に、いまだに名前も分からない甘い揚げパンを売っていた。僕らはその揚げパンを味が似ているという理由でバナナブレッドと呼び。毎日毎日食べた。

朝飯にバナナブレッド、昼が物足りなければバナナブレッド、おやつにバナナブレッド、夜食にバナナブレッド。とにかくいつ行っても開いている店だった。3度も行けば顔見知りになり、何も言わずにバナナブレッドを出してくれる始末だ。

チャイもバナナブレッドも7ルピー。チャイを2杯とバナナブレッドをひとつ頼むと21ルピーになる。初めは21ルピー請求されていたが、いつのまにかそれも20ルピーになった。

通りかかれば、立ち寄らなくても「ヨッ!」と手を上げてくれる。その店に椅子もテーブルもない露店同様の店だったが、それでも居心地のいい店だったと言える。

ところがずいぶん後になって(このブログ記事のずいぶん先になる2月末のことだ)店の人が変わった。僕らのことも知らないし、僕らもその人のことを知らない。好きだったバナナブレッドは味も変わらず、チャイもうまかった。

チャイ2杯とバナナブレッドひとつで21ルピー払う関係に戻った。それから新しい人たちと関係を築く時間もないまま、トリヴァンドラムを去ることになった。

なんだか忙しいトリヴァンドラムの街もこのチャイ屋のおかげで、少しだけアットホームで、少しだけ郷愁を覚える街になったのは確かだ。

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