アンナプルナ9日目〜ヒマラヤのゴミ問題〜飲んでいい酒とダメな酒
トレッカー、あるいは登山家と言えば自然を愛するタイプの人が多いはず。でも実際のところ自然を汚しているのは僕らトレッカーなわけで……。
290日目(2014年3月25日)
標高3500mのマナンを出たあとは、最高地点のソロン・パスまで登り続けることになります。それはそれは楽しいトレッキングではあるのですが、どうしても眼をつぶってはいられないゴミ問題について、少し触れたいと思います。
マナンを出て、標高はドンドンと上がる
急登というほどの登り坂ではないものの、延々と緩やかに登り続けます。次の宿は4000mを越えた位置にありますので、高山病にならないように1歩1歩丁寧に、ゆっくりと歩きます。
このくらいの標高になると、ちょっとした動きで息が切れるので、無駄なことはできる限りしません。黙って、じっくり考え事をしながら登り続けるわけですが、トレッキング中、どうしても頭から離れなかったヒマラヤのゴミ問題について少し触れたいと思います。
そのゴミはどこへ?
さて、トレッキングにはどうしてもつきもののゴミ問題に触れたいと思います。
「持ってきたものはすべて持って帰る」
これがトレッキング・登山の原則です。日本で登山をしている人は大丈夫ですよね? まさか持ってきたお菓子の包み紙をポイ捨てしてませんよね? この辺は論外なので、置いておきます。
ネパールトレッキングで気をつけなければいけないのは「持ってきたわけじゃないゴミ」なのです。
ネパールトレッキングでの食事は基本的にレストランやホテルで食べることになります。そういったレストランにはビールもコーラもあります。1日歩いたご褒美に飲みたくなりますよね。そりゃそうです。
飲んだとしましょう。そこで質問です。そのビール瓶の行き先はどこでしょうか?
間接的なポイ捨てをやめよう
ヒマラヤの山の中にゴミの回収システムなどありません。そこでレストランやホテルの人は店に溜まったゴミを山に捨てます。燃やせるものはその辺で燃やしてしまいます。
ビールやコーラを飲んだ人はポイ捨てをしたつもりはないと思います。だって店で飲んで、店に置いてきた瓶ですから。普段だったらそれでいいんです。でもこのネパールのトレッキング中はダメなんです。
例えばこの写真、レストランの裏側です。燃やせないビール瓶の山です。どこのレストランにも必ずあります。これを見たらビールなど注文できないです。
飲んだ人は直接捨ててないので、罪悪感さえありませんが、やっていることはポイ捨てです。
「そんなの店や国の問題でしょ? 嫌ならゴミ回収システム作れば?」
なんてことを言わないでください。日本だって富士山が汚くて最近ようやくキレイにしようといろんな動きが出ているんです。先進国であるはずの日本でさえ、やっと今なんです。ネパールはきっと他にもやらなければならないことがあるはずで、少なくとも今は山のゴミ問題に本格的に取り組めていません(実はエベレストのゴミ問題には着手中であるというニュースを見ました)。
先進国から来ているトレッカーが気をつければいいことです。
トレッキング中くらいビールを我慢しましょう。ゴミが、特に瓶などのかさばるゴミが出るものは注文するのも控えましょう。下山すれば安くビールやコーラがいくらでも飲めます。そこまでの辛抱です。
でもお酒飲みたいあなたへ
とはいえ1日の締めくくりにお酒の1杯くらい読みたいという人もいるでしょう。
僕も毎日ではありませんが、長く歩いた日や、いいことがあった日くらいは飲みたいな、と思います。そんな人は地元の手作りの酒を飲みましょう。
チャン(あるいはジャン)と呼ばれる飲み物があります。日本で言えばカルピス割りのお酒、かな? これは雑穀などから手作りしているもので、普通は宿やレストランが自分で作っています。もちろん天然素材しか使わないからゴミも出ません。金額もすっごい安くて、ビール500円くらいに対して、100円以下で飲めます。
せっかくの海外トレッキング。お酒も地元流で楽しめば、自然に優しく、しかも楽しい思い出作りまでできますよ。
こんにちは、柏市より発信します。
ヒマラヤでのゴミ問題切実ですね。 ワインの瓶類のリサイクルは日本でも大変らしいです。山岳地方ではなお大変な労力 また費用も掛ることでしょう。何気ない消費活動も考えものですね。
日本ではワインの瓶を粉砕し軟弱な土壌改良等に使いリサイクルする研究もされているそうです。
コメントありがとうございます。
そうなんです。日本でも山小屋のゴミを山に廃棄などはしてないと思いますが、その処理は凄い労力だろうと思うんです。ゴミを全く出さない生き方はほぼ不可能ですが、どうにか環境へのインパクトの小さい選択をしたいものです。せめて山の中でくらいは我慢しないといけないと思います。