アンナプルナ11日目〜説明不要、標高5416mの風景

今までの人生で歩いて到達した最高地点、標高5416m。辛くて楽しい、高所の世界をご覧ください。

292日目(2014年3月27日)

僕らは決して高いところに行きたくてこのトレッキングを始めたわけではなかったのです。

最初のころは「ネパールと言えばトレッキング! せっかくだからロングトレックがやりたいね!」という程度の気持ちでした。Lonely Planet を見て、定番のトレッキングコースをチェックしていた時に、人に勧められたコースがたまたま1番長いコースだったのです。

それじゃそれをやろう、そういう気持ちでアンナプルナ・サーキット・トレッキングを選びました。ただ長く歩きたかったんです。しかし詳しくコースを見ていると最高地点は5416m。自分の人生では未踏の高さです。過去マレーシアのキナバル山で4000m近くまで登ったことがありますが、それが最高地点でした。


このコース最高地点に到達します!

歩き始めてからも長く歩くことが楽しいという気持ちが強くて、5416mという高さにはさほど興奮はなかったのですが、1日1日その場所が近付いてくると、その5416mという数字の持つ強烈な印象が頭から離れなくなります。

今までの人生で1番高い場所なのはもちろん、もしかしたら生涯で最高地点になるかもしれない。そんな気持ちにさえさせる標高に思えてきました。

そしてその場所に到達するのが今日です。

歩き始めは暗闇で

出発は朝の4時。午前中、できれば10時くらいまでに標高5416mであるソロン・パスという地点に到達しないと強風で危ないとのことでした。

歩き始めは真っ暗です。ヘッドライトをつけて雪を踏みしめながら登ります。この写真はまだ太陽が出る前、でも山の上にうっすらと光が当たり始めた頃の写真です。ふと後ろを見たとき、この景色を見てぽかんと見取れてしまいました。

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すこしだけ待っていると日が昇ってきました。

朝日は4700mくらいの場所でした

標高4700mほどの地点になんと宿があります。このエリアはHigh Campと呼ばれています。出発地点からここまで1.5時間ほど歩いたでしょうか。ゆっくりゆっくりと登り続けます。

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ここでトイレに行ったり、スニッカーズを食べたりしていると日が昇ってきました。まだ自分がいる場所は暗いのですが、向こうの山にはもう朝がやってきたようです。

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ここを歩いているのは僕らだけではありません。1~3人くらいのグループが何組もいますし、中には10人前後のグループさえいくつかありました。そのうちのひとつはなんと70歳前後の老人グループ。

「自分たちのペースでゆっくり行くわ」

と笑いながら、でも結局しっかりと登り切りました。人間、年齢なんて関係ないですね。

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踏みしめられた雪の上を歩き続けます。まだ昨日の新雪が残っていて膝まで沈むような場所もありましたが、ほとんどは堅くなって歩きやすいです。落ちたら危ない箇所もありますが、極端な危険を感じる場面はあまりありません。注意深く歩いていれば大丈夫でしょう。

ようやく僕らが居る場所にも朝がやってきました。

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ヤクは5000m地点にもいるのです

日が昇れば結構暑いもの。陽射しが強く、サングラスがないと目がやられてしまいそうなほど。日焼け止めがなかったら酷い日焼けに悩まされただろうと思います。

後ろを見ると大人数の老人グループが少しずつ近付いてきます。それくらい僕らはゆっくり歩いていました。ゆっくり1歩1歩、自分の身体に「大丈夫? 疲れてない? 息は切れない? 足は痛くない?」と問いかけながら登る感じです。少しでも違和感を感じたら立ち止まり、呼吸を整えます。この丁寧さがあったおかげで、高山病にもならず、5416m地点まで登り切れたのだと思います。

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なんとこんな高地にもヤクはいます。首に大きな鐘(鈴、と言うには大きいのです)を下げていて、チリーン、チリーンとならしながらのっそのっそと歩いています。この360度が雪山の幻想的な世界で聞こえた、あの鐘の音は一生忘れないと思います。

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到達! 標高5416mの世界

そしてとうとう最高地点に到達します。

しかしここは山の頂上ではありません。むしろ山と山の間の “歩きやすい低地” に位置する場所。周りを6000m~7000mの山が囲みます。

「え、もう着いたの? ここ?」

と高地で酸素が足りないのか、回らない頭をフル回転させて、ようやく喜びが込み上げてくる感じです。そしてその場所に座り、ただ景色を眺め、夫婦でここまでこれた喜びを語り合うだけで、本当に涙が出るほどの感動と達成感でした。

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もしここを歩こうと思う人がいるなら強く言いたいです。

決してラクじゃありません。はっきり言って結構大変です。でも、並の体力がある人が、慎重に慎重に、丁寧に、時間をかけさえすれば、絶対に到達できる場所です。特別な人しか行けない場所ではありません。必要なものはここまでくるお金と3週間くらいの時間です(日本人にとっては不可能に思えるほどの休みが必要ですね。日本人の休みの無さは大問題だと思ってます)。

標高5416mにもある茶屋

なんとこの場所、茶屋もあります。

ぼくらは入りませんでした。ぼくらはただ休んでいる人たちから離れ、静かな場所で、素朴に休んでました。他の人を見ているとここで暖かいミルクティーなどを飲んでいるようですね。気持ちはすっごく分かります。

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そのかわり、持ってきていたMarsを頬張ります。

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MarsからCM出演の話が来ても良いと思うのですが……。

山登りが好きならサングラスを持ってぜったい来て欲しい

ありきたりな意見ですが「大変なことでもコツコツ頑張れば、いつかは達成できる」ということを心の中に植え付けられたような思いです。

ベテランの登山家でなくても来られる場所という意味では、この場所は最高の場所ではないでしょうか。標高も、感動も、最高です。ただこの場所に立っているだけで、あるいは座り込んでいるだけで、涙が溢れるほどに感動します。そんな潤んだ目を隠すのに、サングラスってちょうどいいんですね。

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