アンナプルナ13日目〜ヒマラヤの奥地で見た日本の気配
標高 5416 mという高地を抜けて、あとは下る一方です。そんな道すがら、なんとこのヒマラヤの山奥で日本の気配を感じたのでした。
294日目(2014年3月29日)
歩いて越えた 5416m という壁を後ろに感じながら降りていくというのは、思ったよりも寂しかったですね。このアンナプルナトレッキングの最初の頃は「高いところを目指すことじゃなくて、長く歩くことが目的」と思っていたはずで、それがぼくらのトレッキングの楽しみ方だと思っていたのに、大興奮・大感動のあの場所から遠ざかっていくことが、どうにも寂しかったです。
そんな気持ちを察するように、ふとやってきた日本の気配に癒やされた1日でした。そしてオチのように、その日本の気配にげんなりもしたのです。
背中に感じる高地の気配
標高 3800 mほどのムクティナスの村から緩やかに下っていきます。とは言っても、現実的には下りを中心にしつつも、上下する結構ハードなコース。途中日陰も少なく、そういう意味でも大変でしたね。
途中、このコースには珍しく池を発見。映り込む山の景色がきれいで、何枚も写真を撮ってしましました。
ヒマラヤの奥地に桜の気配!
この日の行程を半分ほど終えた頃、小さな村に到着します。もうクタクタで、まよわずここで昼食を食べることに……。その村に、なんと桜が咲いていたのです。
この村にいたときはあまり深くも考えず、「おお桜だ桜だ! 旅をしていて花見できないと思ってたけどラッキー」と喜んでいたのですが、実はしばらくあとで、別の村についてから、桜について話を聞くと、どうやら日本人が時々来ては植えていったものらしいのです。それも同じ人が……。
桜の野生種の一つ。英語圏ではWild Himalayan Cherryとも呼ばれる。東アジアに見られる落葉性の樹木である。ヒマラヤが起源と考えられており、インドのHimachal Pradeshから中国南西部、ビルマなどに見られる。海抜1200mから2400mの高山の森に生える。また、サクラ自体もヒマラヤ近辺が原産と考えられている。
ヒマラヤザクラ
というわけで、日本の人が植林したかどうかの確かな情報は見つからなかったのですが、桜自体がそもそもヒマラヤから来ているのですね。ヒマラヤで桜を見て「ああ、日本の景色」と望郷の思いに耽っていたら、じつはそれがヒマラヤの風景だった、というわけです。
そんな桜を眺めながらの食事は最高でした。
食べたのは山梨のほうとうのような麺料理。最高にうまかった。
その後、山道は河原に降りて、延々乾ききった河原を歩くことになります。雨期になれば川があるのでしょうが、今は雪解け水が流れているだけでカラカラです。その河原を車も通るものだから、そのたびに埃が舞い上がり、歩きにくい場所でした。
そんな道を大荷物を持って歩く人も……。遙か遠くにあるどこかの村に届けるために運んでいるわけです。こういう人に何度も出会いましたが、本当に辛い仕事だと思います。
桜を見て、ほうとうのような麺を食べ、なんとなしに日本の気配を感じて和んでいたのですが、今夜の宿の前でこんなゴミを見かけてしまいました。
だれだよ、これ捨てたの……。日本人がゴミを捨てたと思うと悲しい。
でも食べたいなと思ってのは事実です。