世界の屋根を3週間歩いてみて僕が手にした10のこと

さて、昨日までアンナプルナ・サーキット・トレッキングの14日目までのことを書いてきました。まだあと9日分を残していますが、あまりに長くなるので、細かく1日ずつ記事にするのはやめて、ここで総括したいと思います。

参考:アンナプルナの記事一覧

また、これからこのコースを歩こうと思っている人へのアドバイスなどは別の記事にまとめたいとも思っていますので、そちらもお楽しみに。


アンナプルナ・サーキット・トレッキングとは?

どんなコース?

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ヒマラヤの中にあるアンナプルナ山脈の周りをぐるりと歩く合計 210 kmのトレッキングコースです。アンナプルナⅠ~Ⅴという 7000 ~ 8000 m級の山を見ながら歩くことになります。

どこかの山の頂上に登るわけではありません。長く歩くことが目的です。とはいえ最高標高は 5416 m。日本で1番高い富士山の 3776 mをはるかに越える高さにまで到達します。

どんな人がいけるの?

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どんな人でも行けます! 日本で普通の日帰り登山の経験があれば十分。むしろ日帰り登山の方が1日で一気に登って降るという意味で、体力的にはかえって辛いです。

あえて言えば

  • 歩くことに喜びを見いだせる人
  • 自然の中にいることが幸せな人

なら行けるのではないでしょうか? ただし、登山知識ゼロの人がひとりで行けるという意味ではありません。よく整備されたコースとはいえ、地図の読み方・高山病対策・事故時の対応など、日本の登山でも必要だと言われる程度の知識がある人が最低ひとりは必要だと思います。

ぼくが3週間のヒマラヤトレッキングで得たこと!

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で、本題です。この長いトレッキングを歩き終えて、得たこと・知ったことを書いてみたいと思います。

1. 210km を歩けるという自信

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言うまでもありませんね。210km という距離を歩ききったということは、初めて 42.195km のフルマラソンを走りきったときの感動に近いものがあります。どんなに遠くても歩き続ければちゃんと辿り着くという、ありきたりだけど、大切なことに気が付かされました。

2. 標高 5,416m まで歩いて登ることができた自信

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日本で 2 番目に高い山である北岳(標高 3,192m)が日本にいたときに登った最高地点でした。それが旅に出てから、マレーシアのキナバル山で 3700m くらいまで更新し、とうとうここネパールで 5,416m まで来たわけです。

はっきり言って 5,000m を越えるのは無理だと思ってました。理由はありませんが、漠然と “特別な登山家だけができること” くらいに思ってました。しかしこのアンナプルナ・サーキット・トレッキングのことを知って、調べているうちに “普通にちゃんとがんばればできるもの” と思えるようになり、実際にこうしてちゃんと登れたわけですから、声を大にして「誰にでもできることですよ!」と伝えたいですね。

3. チベット文化の片鱗に触れることができた

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ヒマラヤエリアは本当にひと山越えたらチベット、という場所に位置しています。登山地図を見ても歩いて 1 ~ 3 日もいけばチベットに入れるという道がいくつかありました。

そんな場所ですから、逆にチベットから来ている人も多くて(と言っても自由に行き来できるわけではありません。チベットを亡命してきた人たちがいると言った方が正しいでしょう)、チベット文化を垣間見ることができます。

例えば食べ物・飲み物。チベット系の食事は本当に山に適したものが多いんですね。要するに腹に溜まること溜まること。山の民族だということがよくわかりました。

4. 自分の身体を丁寧に点検する方法

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毎日歩いていれば必ず身体は故障します。ただその故障を最小限に抑えることは可能です。その方法は “身体を丁寧に点検し続けること” です。

1歩1歩、自分に問いかけます。

「足に痛みはないか?」「ひざは?」「腰は?」「頭は?」「呼吸は安定してる?」「心拍数は?」

で、少しでも小さな小さな違和感を見つけたら、ちゃんと対処します。小さい違和感なら、小さい対処で十分。ちょっと足に違和感があると思えば、少し歩幅を狭めたり、ペースを下げたり、呼吸が乱れていると思えば、立ち止まって呼吸を正したり……。これが大きなトラブルが起きてからだと、大きな対処をしなければならず、最悪トレッキングを続けられなくなるわけです。

この身体の点検を延々とやっていたからこそ、最後まで歩き切れたと思うし、3週間も続けたことだからこそ、これからも続けていける技術だと思えるようになりました。

5. 生活を楽しむということ

山の中に住んでいる人たちは本当に生活そのものを楽しんでいると思いました。例えば娯楽なんてあんまりありませんが、囲炉裏に火をおこし、お茶を作り、家族や友達と飲む、そういうことを楽しんでいる姿が本当に素敵でした。

実はここに来て “囲炉裏のある生活がしたい” と思うようになりました。田舎暮らしへの憧れと言われればそれまでですが、いつかきっと実現したいものです。

6. 自分なりの幸福観

どういう時に幸せを感じるのか、本当に考えさせられました。考えたことをこの場ではまとめきれませんが、ひとつは “5. 生活を楽しむということ” に書いたとおりです。

たくさんの娯楽があることよりも、日々の生活的なこと、現実的なこと、実際的なことを楽しめることの方が、ちゃんとした深い幸せが得られるように思えました。言い換えれば、どんなことからでも幸せは得られるとも言えるのかもしれません。

7. 初めてのシェルパとの出会い

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アッパーピサンという村でシェルパ族の料理人と出会いました。

彼は仕事を求めて、エベレストエリアからこのアンナプルナエリアにやってきたようです。今までは日本の登山雑誌で出てくるポーターや山岳ガイドとしてのシェルパしか見たことがありませんでしたが、こうして登山客用に料理を作る料理人のシェルパと会ったのはこのトレッキングの中でも大きな喜びのひとつです。

8. ネパールに住みたいという思い

冗談抜きです。

ネパール、それもアンナプルナの山の中に住んで、地元の人と協力し合い、環境や地域に優しい、きれいなゲストハウスを作りたいと思いました。もちろんすでにトレッカーに優しいゲストハウスがたくさんありますが、環境や地元コミュニティに優しいゲストハウスはあまりありません。そういうものに自分が携われたらどんなにすばらしいだろうと、何度となく考えました。

9. もっと歩き続けたいと思ったこと

210km も歩いて最後の日に思ったことは「もっと歩いていたい」でした。

歩くことが当たり前になってしまい、朝起きて、ストレッチして、半日歩いて、次の村で読書しながらくつろぐ、という毎日が最高に楽しかったのです。1ヶ月でも、半年でも続けたいと思いました。

でも実際に毎日続けたら「仕事がしたい!」とか思うようになるんでしょうね。

10. 初めてひよこを拾ったこと

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最後の日のことです。

歩いていると、草木のない埃っぽい道の真ん中にひよこがいました。少し前に大量のひよこを担いで歩いている人がいた(たぶんひよこの行商)ので、その人が落としたのだろうと思いますが、すでに離れていて追いかけることもできません。

しかし親もいないひよこです。放置すれば死んでしまうのは確実。ぼくはひよこを拾って行くことに……。

最初はピーピー鳴いていたひよこも、右手の手のひらに収まると安心したのか、静かになりました。眠そうに目を閉じたりしています。

次の村に着いたとき、村の女性に事情を説明すると「私が育てる」と言って貰ってくれました。本当にひと安心。

いつか大きくなって、あの女性に食べられるんだろうなァ。

最高に楽しいトレッキングでした

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語り続ければ、いつまででも語り続けられるほど、楽しい体験でした。

途中で出会ったトレッカーたちの話を聞くと「みんなネパールのトレッキングが楽しくて、リピートしちゃうんだよ」と言います。中には毎年来ているおじさんもいました。

ぼくらもきっとまた来るだろうと思います。世界の屋根を歩く3週間のトレッキング、あなたもいかがですか?

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