ヒマラヤトレックを終えて思う ポーターを頼む前に考えたい5つのこと

ポーターという言葉を聞いたことがありますか?

日本ではあまり見かけないですが、海外の、特に高地の登山の際に荷物を持ってもらう人のことをポーターと呼びます。要するに “荷物持ち” です。例えばエベレスト登頂など、ひとりで運びきれないほどの機材を持って行く場合に、ポーターにお願いするわけですね。

最近ではカジュアルなトレッキングでもポーターを雇うことがあるようです。現地の観光ガイドで訊くと「雇った方がいいですよ」と勧められるとか……。

ところが知って知らずか規則で決まっている以上の重い荷物をポーターに持たせているケースが散見されます。ぼくらもたくさん見ました。そういうポーターに声をかけると「ルール違反なのは知っているけど、これくらいは大丈夫」と健気に答えますが、決して良いことではありません。命の危険があるのです……。

最近こんなニュースもありました。

1953年にニュージーランドの登山家、エドモンド・ヒラリー(Edmund Hillary)卿とシェルパのテンジン・ノルゲイ(Tenzing Norgay)氏がエベレストに初めて登頂してから、300人以上が登山中に亡くなっており、そのほとんどが地元ガイドだという
エベレストの地元ガイド、今シーズンの登山中止を決定
(ここではガイドと表記されていますが、そこにポーターも含んでいると考えて良いと思います)

これからポーターを頼もうと思っている人に、少し考えて欲しいことがあります。

こんな険しい道もポーターは黙々と登ります。


1. その荷物、本当に必要ですか?

一つひとつの荷物に対して自問してください。

例えば重いガイドブックが入っていませんか? ゲーム機や分厚い書籍が入っていませんか? 着る予定がない服、念のため持っている一眼レフの予備レンズなど……。ひとりで持てるならいいんです。

悲しい例ですが、想像してみてください。

ポーターが疲労でよろめき、崖から落ちて亡くなったとしましょう。残されたポーターの家族が、ポーターの持っていた荷物を見て、明らかに登山に不必要なガイドブック・ゲーム・パソコンなどだったらどう思いますか?

「こんなものを持たされていたから……」と嘆かずにいられますか?

ポーターは登山に必要なものを持ってくれるチームメイトです。チームメイトに頼んで恥ずかしくないものを頼みましょう。

こんな荷物を持って、うつむき気味に歩く何十人ものポーターを見ました。

2. 本当に自分で持つのは難しそうですか?

用意した荷物を背負ってみてください。少し辛いかもしれませんが、それは誰にとっても同じです。

ゆっくりなら歩けると思うなら、ゆっくり歩けばいいんです。短い距離なら歩けると思えば、毎日短い距離を歩けばいいんです。自分のペースというのはそうやって作るんです。

そういう検討を十分にしてみてください。それでもなお持って歩くのが難しいようなら、ポーターを雇うことを考えましょう。でもその前に荷物を減らすことを再検討してみてくださいね。

3. ポーターがあなたの親友だとしても荷物を持たせますか?

さて、あなたは荷物も十分に減らして、どうやっても自分で持って歩くのは難しいと判断しました。だからその荷物をポーターにお願いして、持ってもらうわけですね。

軽い気持ちじゃないはずです。例えば親友と一緒にトレッキングに行くことを想像してください。その親友に荷物を負担させるのと同じです。くだらない荷物や理由でお願いしないはずです。

相手が親友だとしても預けるか? ひとつの基準として改めて考えてみてください。

4. ポーターが途中で体調を壊したら代わりに持てますか?

ポーターだって人間です。体調も壊すし疲れます。そういうときに代わりに荷物を持つ覚悟はありますか? あるいは緊急時にその荷物を置いていく覚悟はありますか?

まさか熱が出ているポーターに鞭打って荷物を持たせるわけじゃありませんよね? あるいはポーターを山の中に置いてくるわけじゃありませんよね? その覚悟をしてください。

重い荷物を背負ってもぼくらよりもずっと歩くのが速い

5. ポーターを同じチームとして扱えますか?

ポーターとあなたはチームメイトです。もしくは会社の組織だと理解してもいいです。

あなたは社長、ポーターは社員です。給料としてお金を払って、社員であるポーターは荷物を持ちます。そう考えると、ここまでの注意事項の意味も分かるはずです。給料さえ払えば社員を奴隷のように扱っていいと思っている社長は良い社長ですか? 違いますよね?

例えばポーターが疲れているときに「よし休もう」と言ってあげられますか? あなたは軽い荷物を持っているから、まだ疲れていないかもしれませんが、ポーターはあなたの荷物に加えて自分の荷物も持っています。

同行しているあなたの友達と全く同じように扱ってあげられますか?

まとめ

ネパールトレッキングをしていて気軽にポーターを頼んでいる人をたくさん見ました。違和感があります。例えば日本で登山をするとき、みんな自分の荷物を自分で持つのが当たり前です。

「安いし、頼んじゃおうか」くらいの気持ちだろうと思います。ポーターを頼む覚悟の重さや、緊急時にあなたに求められる判断・責任を深く考えず、軽く頼んでいるのでしょう。

まったく悪意がないのは分かります。でも悪意がないからこそ怖いのです。軽い気持ちでやっているから事故が起こるんです。

こういうサイトもあります。目を通してみてください。

International Porter Protection Group

ポーターを頼む前に思い出してみてください。

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