行く前に知っておきたいイランの基礎知識
みなさんイランってどんなところかご存じですか? 普通に日本にいるとあんまり知らないじゃないでしょうか? 中東にあって、イスラム教の人が多くて、くらいのイメージですかね。ついて数日たった印象と分かってことを書いてみましょう。
基礎知識:イランってどんな国?
正式名称はイラン・イスラム共和国というくらいで、イメージの通りイスラムが強い影響力を持っています。具体的には宗教上の最高指導者が、そのまんま国の最高指導者になります。
国民の90%がイスラム教のシーア派、9%がイスラム教のスンナ派、というわけで99%がイスラム教に属します。
行く前に絶対知っておくべきこと
他の国ならば「とにかくその国に行って、いろんなルールを知ればOK」ってことが多いですが、イランでは行く前に絶対に知っておかないとならないことがいくつかあります。知っておかないと、場合によっては大事になるので、なんならガイドブックの表紙に書いておいて欲しいくらいです。
女性は髪の毛を隠すこと!
イスラム教のルールとして、女性は髪を隠すことが義務づけられています。ですので、イスラム教の女性はいつも頭にヘジャブというスカーフを被っているんですね。今まで旅してきた国々でもイスラム教の多い土地ではよく見かける光景でした。
ぼくらはイスラム教ではないわけで、今までなら「お、ヘジャブ付けている人がいるなァ」なんて呑気に見ていれば良かったのですが、最初に書いたとおり、イランはイスラム国家であり、イスラム教のルールが国のルールなのです。つまり、ヘジャブを被っているのは、国のルールです。イスラム教の属すかどうかは関係ありません。
だから女性は飛行機を降りる前から、必ずヘジャブをつけていなければなりません。
「着いてから買おう」はダメです。警察や、地元の人から凄いひんしゅくを買いますし、場合によっては捕まっちゃうかもしれません。
また、髪の毛だけではなく、お尻の形が見える服もダメです。例えばジーンズにTシャツだと、お尻の形が見えてしまいます。丈の長いシャツなどを上に着て、お尻が見えなくなるように工夫してください。
敬虔なイスラム教徒だと、全身を隠すチャドルというもの(顔だけ出して、あとはマントで覆うような感じ)を着ています。日本人的には映画もののけ姫に出てくる「カオナシ」を思い浮かべてくれればいいと思います。
参考:イスラム圏の女性の服装
こういった服装の規定が「女性の人権差別である」という主張もあるようですし、ある意味ではぼくも頷きますが、とにかくイランではこの規定を守ってください。
モスクなど、神聖な場所に行くときはMiaもチャドルを着ていきました。そうでないときはヒジャブでしたね。
この写真は町を歩いていたときに声を掛けられて撮った写真。奥さんはチャドルを着ているのが分かります。ちなみにぼくが頭にスカーフを巻いているのはファッションです。
ちょっとした面白写真。イランで見かけたエスカレーターの注意書き。他の国だと女性はスカートで表現されますが、やっぱりイランではこうなるんですね。
経済制裁の影響
イランはアメリカから経済制裁を受けており、その影響でイランとの送金はできないようになっています。
昨日のブログにも書いたとおりですが、他の国では便利に使える国際デビットカード・国際クレジットカードは一切使えません。イランにあるATMはイラン国内の銀行口座からの入出金だけができるようです。
それだけではありません。
何らかの理由でイランの中にいる人へお金を渡したいケースも難しいです。例えばこんなことがありました。
ぼくらがイランのVISAを申請しようとしたときです。手続きはすべてオンラインでできるの、それらをすべて済ませて、イランの入国管理局へ送付したところ、次のような内容の指示が来ました。
「申請は受理しました。VISA費用のお支払いについてはPayPalにてお願いします。ただし、支払い内容の欄には絶対に『イラン』への支払いだと分かる文言は入れないようお願いします。場合によっては送金できません」
これには2重の驚きがありました。
1つ目はPayPalの支払い内容までアメリカ(またはPayPal社)は監視しているのか? というもの。もう1つは、そもそも普通の銀行振り込みができない、ということです。最初は「VISAの支払いにPayPalなんて先進的!」と思ったものですが、苦肉の策だったのでしょうね。
ペルシャ=イラン
イランの古名はペルシャと言います。
だからイランの公用語はイラン語ではなく、ペルシャ語なんです。また、ペルシャ、と言えば有名なのは絨毯と猫でしょうね。猫はよく知りませんが、ペルシャ絨毯は世界中で重宝されており、デザイン性に優れた絨毯です。世界中に愛好家がおり、実際すごく高いんです。
でも、当然イランで買えばずいぶん安いです。
もしぼくが短期旅行でイランに来ていたら、絨毯をたくさん買い込んで帰ったと思います。大きいのもいいですが、ハンディな小さいやつをたくさん買って、家のあちこちにおきたいな、と思いました。
それくらいイランではペルシャ絨毯があっちこっちで使われています。印象的だったのはバスと電車。なんて、バスと電車の床さえも絨毯。影響を受けるなってのがムリ
ほんと、悪いことは言わないので、イランに来るなら数万円ちょっと絨毯予算を持って行きましょう。すっごい良い思い出になりますよ。変えなかったのが本当に悔しい。次に行くときは絶対買う!
町がキレイ
ぼくらはインドから来たので余計にそう思うのかもしれませんが、本当に町がキレイです。ゴミがひとつも落ちていません。旅していて、いつも「日本ってきれいだよなァ」と思うのですが、イランの方がきれいかもしれない、と思ったほど。
イラン人はすごくフレンドリー
今まで旅した国で、もっともフレンドリーな国かもしれません。例えばインドネシアにいるときは町中の人に「Hello ミスター!」って声を掛けられることはたくさんありましたし、インド人もすぐに寄ってきて話しかけてきます。だけど、みんな「外国人が珍しいから絡んでみよう」という感じなんですね。
それに対して、イラン人はすごく丁寧。歩いていると、寄ってきて挨拶してくれて、「困ったことがあったらなんでもいってくれ。時間があったらお茶でも飲んでく?」と礼儀正しく声を掛けてくれるんです。
断っても嫌な顔をしないし、とにかく礼儀正しい。日本人も礼儀正しいと思うけど、よそ者には冷たい人が多い(本当は冷たいと言うよりもシャイなんだと思うけど)、だけどイラン人はよそ者にも同じように礼儀正しい印象。
ただし!
どうも若い男どもは中国人が嫌いなようで、ぼくらを中国人と勘違いし「チン!(中国人という意味)」と怒鳴ってくるひともいた。ったく、どこに行っても若い男はしょうもない。
イランって
すっごくいいところですよ。
ついて1日〜2日でその良さが分かります。歩いているだけで、「え! どうしてみんなこんなに優しいの!?」という感じ。ぼくもこれくらい優しくなりたい、と本気で思いました。