クルド人が自国の首都と呼ぶディヤルバカルの散策記
クルド人の首都と呼ばれるディヤルバクルの町にやってきました。
2014年6月23日
クルド人
ブログで以前書いたとおり、イラン〜トルコと旅していて強い興味を持っていることのひとつがクルド人の存在です。自国の国土を持たない世界最大の民族として知られ、彼らは主にイラン・イラク・トルコの国境を挟んだエリアに広がって住んでいます。
そんなクルド人たちが「クルドの首都」と呼ぶ町がディヤルバクルです。もちろん今はもうクルドという国は存在しませんので、正式な意味での "クルドの首都” というものは存在しません。
しかし来てみたら、本当にクルドの首都と呼んでふさわしい、クルド人たちの町でした。東トルコの方に当たるため短期旅行だと行かない人が多そうですが、一見の価値がある場所ですよ。
みんなクルド人
ディヤルバクルのオールドシティは城壁に囲まれた小さな町です。
歴史的に非常に古く、古代ローマ時代から存在したそうです。都市の名前も何度も変わっており、アミダ→アミドという名前を経て、今のディヤルバカルとなったそうです。
周囲を取り囲む城壁はなんと西暦297年に作られたとか……。もう遺跡が好きならこの町に来るだけで楽しいだろうと思います。
そして、ぼくらにとっては何より楽しいのが、この町に住んでいる人がみんなクルド人なんです。クルド人男性の民族服というのが、日本でいう建築現場の作業着みたいな服なんですが、その服を着た人が町中にいるのです。若い人はその民族服を着ない人が多いようで、見かけるのは年配の人ばかりなのですが、それにしてもこの旅の中で1番クルド人を見かける町なのは間違いないです。
ちょっと誰かに声をかけられて、話を聞けばクルド人だったりします。クルド人にしか出会わない町とさえ思います。
あとで西トルコで「クルドの首都のディヤルバカルに行ったよ」と何気なく言ったら、「俺は気にしないけど、トルコ人にクルドの首都なんて言わない方がいいよ」と注意されました。調べてみるとクルド労働者党がゲリラ闘争を起こして、トルコ政府が非常事態宣言を出すなど、もめ事もあるようでした。ぼくらが思うよりもずっと大変な状態なようです(今では落ち着いていますのでご心配なく)。
モスク
このディヤルバカルの町の観光の目玉と言えばモスクでしょう。
町中にモスクがあって、どれも驚くほど古い。恐らくこの町メインのモスクと呼んでいいであろうウルジャーミー(ジャーミー=モスクの意)は建物自体は11世紀までさかのぼります。
更にさかのぼると、もともとはキリスト教用の境界があったりしたらしいのですが、イスラムが主流になり、最終的にはモスクが建てられたようです。
もちろん、モスクに入るときは女性は髪を隠すなど対応が必要ですのでご注意ください。イランに比べてトルコはこの辺が寛容ですが、さすがに最低限のルールは守らないと注意されます。
中は絨毯敷きで、静かに祈る人たちと、ぼくらのような観光目的の人が静かに見ているという感じ。空気は厳粛で、大声を出したりするような浮かれた行為はできませんし、心静まる空間です。;
協会も
この町には古い教会もあります。
細く入り組んだ路地に入っていくとその教会はあるのですが、看板があるでもなく、一見するとそれが教会かも分からないような、本当にプライベートな空間でした。
中にはぼくらを覗き、観光目的らしいトルコ人がひとりだけ。ただただ張り詰めた空気が漂っていて、ぼくらは椅子に座ってしばらくその場に佇んでいました。
町にいるだけで楽しい町
どこの国でも、いるだけで楽しい町、勉強になる町、というのがありますが、このディヤルバカルがまさにそうでした。このオールドシティの中に滞在し、フラフラと町を散策して、茶屋でお茶でも飲み、その辺のローカルな食堂でご飯でも食べれば、それだけで楽しい町です。
ぼくらは明後日に行くことを約束しているWorkawayのホストがいるので、ここに長く滞在することができませんでしたが、本当であれば1週間くらい滞在し、ただ空気を満喫したかった場所です。
もし東トルコに行かれるかたは、ディヤルバカルを堪能してください。