毎日の仕事から学ぶ環境へのインパクト
今滞在しているホストの元でやってきたボランティア内容についてご紹介します。ぼくらが何をやっているかを紹介したいという意図もありますが、それ以上に「こういうことをボランティアに頼めばいいんだよ。だからホストをやってみたら?」と日本にいる読者に伝えたい気持ちもあります。
時間の大半は家事
実際のところ、かなりの時間を家事に費やしています。
例えば料理もボランティアが用意するのですが、ボランティアが3組いれば3日に1度ですし、2組ならば2日に1度は料理当番がやってきます。
朝食は各自用意、昼食はジャムとかチーズとかをテーブルに出すだけ、ということで簡単ですが、夕食はかなり大変です。なにしろ多いときで8〜9人前の食事を作らないといけない。しかも薪ストーブで……。
慣れてくれば大丈夫だけど、最初はかなり苦戦しました。ひとり暮らしをしていたから自分用に料理はしていたけど、あくまで1人前。急に8人前になると、下ごしらえだけ考えても凄い時間がかかりますし、スープを沸かすのだって結構時間がかかる。そしてその合間に薪ストーブを上手に操って火加減を作らなければならないのです。
2人がかりで、ザッと3時間くらいかかります。だから1日分の仕事の半分以上は料理で埋まってしまいます。
テラス作り
これは仕事らしい仕事でしたね。写真奥に見える円形のテラスを作りました。写真はテラスの上に砂を巻いてある状態で分かりづらいですが、立方体のブロックを敷き詰めてあります。
ぼくらを含め、他のボランティアとホストも一緒になってやりました。手順としては
- 地面を掘り返す ▶ 土があり過ぎたので、掘り返して、目的の高さになるようにします。
- 水平を確保 ▶ 掘った土を少し戻しながら水平をとります。地面を踏み固めて、あとで沈まないように。水平にすることは大事ですが、多少の凸凹は気にしなくてOK。
- 砂を敷く ▶ 2〜3cmくらい砂を敷きます。この砂で改めて水平を確保し、凸凹をならします。また圧をかけて、しっかり砂が動かないように。
- ブロックを並べる
- ブロックの隙間に砂を入れていく ▶ これによりブロックが固定されます。写真はその作業の途中なので、テラスが砂だらけなんですね。
というわけで、大成功。ホストも大満足で、ぼくらもこういうブロック敷きのテラス作りのやりかたが分かったので、将来自分でやりたくなったらやれるわけです。
雑草抜き
これはエンドレスで頻繁にやっています。
広大な土地を所有しているので、雑草は山ほどあります。ホストとしては特に抜きたい雑草が決まっており、それに集中して抜くことに。例えばワイルド・キャロットと呼ばれる白い花の草。こいつを全部抜きたいとのことで数日がかりで抜きました。
ひたすら抜いていきます。日が出ている時間帯は熱すぎるので、陽が傾いてから作業開始。Miaとふたりで黙々と抜いていきます。雑草抜いてて手に豆ができました。
写真を見てもらうと分かりますが、雑草を抜いていると普段は寄ってこない鶏がしきりに寄ってきます。雑草を抜くとその部分の地面が掘り返されるので、土中の虫が出てくるんですね。そいつを狙った鶏はやってきます。たぶん、鶏は人間も虫が欲しくて掘り返していると思っていることでしょう。
聞けば去年も全部抜こうとしてけど、抜ききれなかったとのこと。ならば抜いてあげましょう、とほとんど全部抜きました。すごい達成感。
種植え・ポットの差し替え
種を植えたり、芽が出た苗を少し大きめのポットに移したり、といったガーデニング的な仕事もしました。
簡単な仕事ではありますが、数が多いので、ホストが自分でやるのは大変。
種植えとひと言で言っても、実際は土作りからやります。この敷地に元々あった粘土質な土と、外から持ってきた砂、そしてピートモス(泥炭)を混ぜます。それはそれは大変な作業でしたが、無事に終わり、粘土質で乾くと石のように固い土も、最後には適度な保水力と、通気性を持った良い土に!
ちなみに植える種の中にMizunaってのがありました。「これ日本の野菜だ」と漢字でどう書くのか教えてあげました。
トウモロコシなどを植える
実際に植えたのは
- とうもろこし
- ラベンダー
- スクアッシュ
- ウリ科の何か
- ラディッシュ(赤カブ)
です。特にトウモロコシは多かったです。というのも、トウモロコシは根が深く潜ることから、固い土を耕す効果があるそうです。だから、まだ土がこなれていない場所にはとりあえずトウモロコシを植えて、土を柔らかく(?)しておきます。広い敷地があるので、全部掘り返すこともできませんし、これは知恵ですね。
ちなみに
地面を掘り返すのは一長一短で、確かに空気を含ませて、土を柔らかくはしますが、同時に土中のバクテリアを殺すことにもなります。地中が好きなバクテリアは掘り返されて太陽に照らされて死んでしまうし、表層が好きなバクテリアは土中に埋められて死んでしまう。そうすると、良いバクテリアは死んでしまい、悪いバクテリアが繁殖し、植物が病気になりやすくなります。
それに対処しようとすると農薬を含めた、何らかの人工的な処置が必要になることが多く、オーガニックの趣旨から外れます。
まぁ、この辺は趣味・嗜好の問題で、毎年掘り返して柔らかい土を作ろうとする人もいれば、一切掘り返さない方針で畑を作る人もいるそうです。ここのホストの場合はあまりに土が固い(石のようです)ので、仕方なく最初は掘り返しますが、それもあくまで表層の30cm程度。その後はあまり掘り返さないようです。
その他
日々の仕事として
- 薪割り
- 鶏小屋の掃除
- 家の掃除
- 窓の掃除
- ブラックベリー摘み
などもやっています。いろんなことを学びました。毎日薪を割る生活にも慣れたし、鶏の性質と言いますか、飼い方もだいぶ掴めてきました。また集めたブラックベリーからジャムを作って、冬用に保存したり、夏に採れたトマトからトマトソースを作って、やっぱり冬用に保存したりする知恵も。
生き方
一つひとつの知識と言うよりも、ここのホストのライフスタイルというものを学ばせてもらっている感じです。
自然破壊を極力避け、不健康なものは極力避け、でも適度に快適で、現代的な生活を送る。要するにバランスですよね。環境保護を意識して、何百年前の生活スタイルに戻るのも現実的ではないですし、かといって欲求に任せて消費ばかりの生活になるのもよくない。その間のどこかにある適度なバランスを探して、模索しているわけです。
旅を通して、いろんな国の環境問題・ゴミ問題を見ました。やっぱり個人として何か対応したいと思うのです。つまり、先ほどのバランスで言うと「環境を意識する方向」に今よりも重きを置きたいと思うんです。そう思っていたときにこのホストに出会えたので、良い機会だとばかりに、いろいろ勉強しています。
ホストは言いました。
「考えることが最初の1歩。自分がゴミを捨てるとき、何かを使うとき、どんなときでもこれは環境にどういうインパクトがあるんだろう? どうすればインパクトが減るだろうと考えることが大事。答えはその時々で違う」
その通りだと思いました。