深くて長い歴史を持つ、参考にしたいイギリスの食文化 アフタヌーン・ティーについて

参考にしたいイギリスの食文化のひとつ、アフタヌーン・ティーの体験レポートです。


お茶やコーヒーの文化は世界共通

お茶やコーヒーというのは本当に世界中に浸透している文化です。例えば日本でもお茶は日常的に飲みますね。中国・香港あたりはみなさんもご存じだと思いますが、それ以外にもぼくらが見てきたものでもお茶を飲む国としては、モンゴル、タイ、ミャンマー、インド、イラン、トルコ、イギリス……など。コーヒーを飲む文化はベトナム、インドネシア、イタリア、スペイン、フランス……など。

こういうお茶・コーヒーの文化ってステキだな、といつも感心しているのです。みんな精一杯おいしく、楽しく、貪欲に味わおうという意気込みを感じます。自分が日本にいたときを思い返してみて、もっと日本のお茶を真面目に味わえば良かった。本気で向き合えば良かった。ペットボトルの緑茶を飲んで「お茶うまい」と思っていることが、いかにもったいないか。そう思うのです。ペットボトルの緑茶がマズいという意味ではなく、簡単に手に入るから、という安易な理由で手にしていたことを痛感しているのです。

とまぁ、いらん未練の思いは置いておくとして、アフタヌーン・ティーについて勉強しましょう。

アフタヌーン・ティーのいろは

3つの午後のお茶

読んで字のごとく “午後に飲む紅茶” と思って良いですが、さすがイギリス、午後に飲むお茶の文化にも幅の広さがあります。

クリーム・ティー
<紅茶とスコーン> もっともライトなタイプです。ランチの後に、デザートとして楽しみます。食事はゆっくり楽しもうという心意気を感じますよね。
アフタヌーン・ティー
<紅茶とスコーンとケーキとサンドウィッチ> 14時〜17時くらいに楽しみます。要するにおやつか軽食か、という立ち位置になります。
ハイ・ティー
<(アフタヌーン・ティーと同じ)> 17時以降に楽しみます。これは19〜21時ごろ、社交界やオペラなどを鑑賞するため、お腹が空かないように食べる早めの夕食という立ち位置。だから21時以降に、また軽い夕食を食べたりします。

共通して言えることですが「上記の時間に上記のメニューの食事を食べればいい」というものではありません。この各種ティー自体が社交場なのです。良き仲間と、あるいは仕事の相手と、交流するための時間です。この時間を楽しむことがイギリスのティー文化と言えるでしょう。

日本だと “早飯早糞芸のうち” という言葉があるくらいで、パッと食って、パッと仕事に取りかかることが美徳という面もありますが、こういうゆっくりした食文化もいいですよね。

ちなみにこのアフタヌーン・ティーは、それほど古い文化ではありません。1870年ごろとされているので、145年前ですね。当時の女性が、女性の社交場として始めた文化と言われています。

さて、さらに深掘りしてみましょう。

そもそもなぜイギリスで紅茶が?

今では「紅茶の国イギリス」と言っていいほどの、紅茶の消費量を誇っていますが、決してもともとイギリスの文化だったわけではありません。というのも、お茶の葉というのは中国〜インドあたりで栽培されていました。初めてヨーロッパにお茶が輸入されたのは中国・日本からだと言われています。当時は緑茶ですね。紅茶はまだありませんでした。それが1600年代のことです。

紅茶もイギリスが発明したものではなく中国で発明されたようです。これが1786年と言われています。

イギリスは緑茶も紅茶も好きだったのです。だからずっと中国などから仕入れていたわけですが、1800年代に、イギリスの植民地だったインドのアッサム地方で茶が自生しているのを発見します。そこでイギリスはインドに “茶業委員会” を設立し、せっせと中国から茶の苗を輸入し、インドで栽培しようとしたわけです。イギリス帝国主義のもと、研究者・労働者をつぎ込み、茶の事業を成功させました。で、それを自国に送ることで、イギリス人はおいしいお茶を手にしました。

ちなみに当時のインド人は自国で作る、そのお茶を飲むことはできませんでした。それじゃあんまりだ、ということで、インド人は茶葉のくずを使って、おいしいお茶を飲む工夫をしました。それが牛乳で茶を煮込む今のインドのチャイです。

まとめるとイギリスは、

  • 1600年ごろから茶を飲むようになり、
  • 1786年に紅茶が発明され、
  • 1800年ごろインドで茶の事業を設立し、
  • 1870年代にアフタヌーン・ティーが始まった

というわけです。最初の茶葉が日本からも行っている、と思うと小国日本の影響力を感じさせられますね。この辺の話題は下記サイトが非常に詳しいです。

http://www.ayati.com/TEA/REKISI.HTM“>紅茶の歴史

アフタヌーン・ティー体験談

長くなりました。よくぞ写真もないのに、ここまで読んでくれました。しかし今から楽しむ数時間のお茶の時間が、この400年以上の歴史の上になり立っていると思うと、それはそれはありがたいことのように思えるじゃないですか。

今回、居候させてもらっているロンドン在住のお友だちYちゃん含め、3人でアフタヌーン・ティーです。男ひとりに女性がふたり。女性のための社交場らしいのですが、それはそれでご愛敬。男の世界に女性が進出したように、女性の世界に男が進出してもよかろう、とむしろ意気込んで向かって行ったわけです。

そこはロンドン中心部のどこか。Yちゃんに案内してもらったので、正確な場所は不明です。大きなビルの中庭になったような場所にそのお店はありました。中に入ると、やはり女性が多い。小さなテーブルを囲んで、女性側になって洒落たティーカップを持っている。

壁にはありとあらゆる茶葉が並べられていて、自由に香りを嗅いで気に入ったものを選べるようになっている。ぼくらなどは茶の知識が皆無に等しいわけで、アッサムティーとか、あれとか、これといった、基礎的な茶しか知らないわけです。もったいないですが、それにしたって香りがいいのはよく分かる。

またケーキの種類も豊富で、こうして並べられている中から自由に選ぶことができます。

アフタヌーン・ティーを注文すると、こうしてお茶の種類とケーキの種類を選ぶことになります。あとのスコーンとサンドウィッチは特に選びません。

しばし待つこと数分。お茶と諸々が運ばれてきます。パリにそびえるエッフェル塔のよう。はたまた日本の五重塔か。立派にそびえる、このサンドウィッチとスコーンとケーキの塔に、ぼくなどは「うわ〜」とアホづら下げて、ため息を漏らすばかり。

紅茶もポットで出されて「あと2分待ってね」なんて、公務員のように律儀で、管制官のように的確なアドバイスを残して去って行きます。この公務員管制官のアドバイスを受けて、しっかり2分待って、カップに注ぎます。

ふむ。うまい。

決してすごい量があるわけではないのですが、イギリス貴婦人らしく、ぼくらはぺちゃくちゃとお喋りしながら、ちびちびと食を進めていきます。お茶はなくなると注ぎ足してくれるので、エンドレスとは言わないまでも、紅茶がなく手を持てあます、ということはありません。

さて、ここで何の話をしたか? なんだっけ? 何か大事な話をしたような気もするのですが、まったく覚えていません。意味があるようで、意味のないことを、もっともらしい場所で、もっともらしい口調で、さも大事なことのように話をする。誰もが口にするが、誰も見たことがない。誰もが聞いたことはあるが、誰も参加したことはない。社交場はそれ天狗の類いか?

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