タバコ嫌いにも読んでほしい キューバの名産品である葉巻の魅力と購入記

葉巻と言っても、タバコの一種というくらいで、あえて言えば「マフィアが吸うあれでしょ?」みたいな印象しかない人も多いと思います。が、ここでは嗜好品としての葉巻の魅力を伝えたいと思っています。

葉巻ショップの一景。見たことない人にとってはマフィアみたいとしか思えないかもしれませんが、すごくおもしろい嗜好品なのですよ。

 


タバコの種類

日本でタバコと言うと一般的に紙巻タバコを指しますね。マルボロとかマイルドセブンとかのアレです。でも本当はタバコというのは非常に幅広く、いろんなタイプがあるのです。

  • 紙巻きタバコ ▶刻んだタバコの葉を紙で巻いたもの。日本だとフィルターが付いているものが多い。
  • パイプ ▶刻んだタバコの葉をパイプに詰めて吸うタイプ。シャーロック・ホームズ的なものを想像してくれればいいでしょう。
  • 噛みタバコ ▶ミャンマーなんかにあるもので、直接口の中に入れて噛むタイプ。
  • 葉巻 ▶刻んでいないタバコの葉を撒いて細長い形状にしたもの。中も外もタバコの葉である。

すべてを詳細に語るのは無理なので、みなさんご存じの紙巻タバコと、今回主役となる葉巻を比べてみましょう。

製法や素材の違い

まず葉巻というのはすべての素材がタバコの葉です。製造方法を簡単に言うと、タバコの葉を乾燥させ、発酵させ、何枚か集めてクルクル巻いて完成です。一方で紙巻タバコの外側は紙、口元にはフィルター、中身は刻んだタバコの葉と味付けや着火のための化学薬品が含まれています。

例えば葉巻に火をつけて吸わずに放置するとすぐに火が消えるのに対して、着火剤の含まれる紙巻タバコは最後まで燃え続けます。

ぼくにとっての味わい方の違い

嗜好品なので紙巻タバコはダメで、葉巻は良い、という切り口で書くつもりはありませんが、やっぱり嗜好品としての葉巻は非常に奥深いものがあります。嗜好品なので、客観的に書くのはやめて、完全に私の主観として書きます。いろんな意見があるのは重々承知していますが、それはそれ。

葉巻はワインやスコッチ、日本酒のようなものです。ブランドごと、生産年、保存状態などで味が変わり、その香りを楽しむものです。お腹は膨らみませんし、栄養も得られませんが、好きな人にとっては心が落ち着き、満たされる。そういうものです。

ぼくの場合、ニコチンを得たくて吸っているわけではないので、日常的には吸いません。そういう意味でもお酒のようです。ちょっといいことがあった夜、嫌なことがあった夜、そういうときに1本を吸いきれる時間を作って、ゆっくり吸う。

タバコが好きでない人からすると「ただ煙いもの」と思われるかもしれませんが、それはビール嫌いの人がビールを「苦いだけ」と言うのと同じです。好きなら飲めば良いし、嫌いなら飲まなければよろしい。

さて、葉巻の味わい方はまさにスコッチのようです。例えば一般的に葉巻の煙から感じ取れる香りの種類を挙げると……

  • ナッツ系の香り
  • チョコレートのような甘み
  • ラム系の香り
  • バニラ系の香り
  • コーヒーの香り
  • スパイス
  • 焙煎したナッツのような香ばしさ
  • etc

葉巻の煙は肺には入れず、口の中で転がして吐き出します。いわゆる「吹かし」ですね。葉巻はあくまで香りを楽しむものなので、肺に入れる必要はありません。また入れるべきでもないでしょう。

葉巻はサイズによって1〜2時間程度かけて1本を吸います。で、おもしろいのが最初と最後の味の違いです。長いときと短いときで味が段々と変わっていきます。たいていは長いときにはマイルドで、短くなるにつれスパイシーになっていきます。そのゆっくりした変化も楽しみどころ。

葉巻を吸うときにお酒を一緒に飲む人が多いですが、一緒に飲むお酒も葉巻の味の変化に合わせて変えていくことも出来ます。たとえば最初はライトな酒から、フルボディの濃い酒、重い酒に変えていくのもアリでしょう。これは好みなので、合うものを探してみてください。ぼくの場合はスコッチかラムですね。あるいはモヒートなどのラム系カクテル。最近は甘味のある酒で葉巻を吸うのが好きです。だからラムがいいかな。

昔のイギリスでは、食後のデザートとして5Cとか7Cというものを挙げていました。興味深いので、これも紹介しましょう(最初の5つを5C、全部で7Cと呼びます)。

  • Cigar ー 葉巻
  • Chocolate ー チョコレート
  • Cognac ー コニャック
  • Cheese ー チーズ
  • Coffee ー コーヒー
  • Cozy ー 快適で打ち解けていること
  • Conversation ー 会話を楽しむこと

こんな呼び名が付くくらい、食後の葉巻というのは重要視されていたんですね。葉巻というのは不良の小道具でもなければ、不道徳の象徴ではなかったのですよ。

最近は世界的な嫌煙キャンペーン中で、喫煙家は肩身が狭いですが、悲しいかな時代の変化の中で喫煙マナーを作ってこなかった(守ってこなかった)ことから来る、自業自得と言っていいでしょう。現代的なタバコのモラルを作る必要があると思います。そのうえで文化としてのタバコを胸を張って吸いましょう。

ぼくは葉巻を中心にタバコの文化は本当におもしろいものだと思っています。今の嫌煙キャンペーンで萎縮するのではなく、ぜひ時代に合った吸い方を考えて欲しいところです。

キューバの葉巻

左手前の葉巻がモンテクリスト。カストロ前議長が愛飲していたのが、モンテクリストの1番。名前の通り1番長い葉巻!

 

と、ここまでは一般的な葉巻の話でした(本当はまだまだ書き足りない……)。

キューバがこの葉巻の話題でどういう立ち位置を占めるかというと、もう圧倒的な世界一の葉巻の生産国なのです。好みの差こそあれ、定番の葉巻ブランドの多くはキューバのものです。また葉巻生産をキューバ政府も重要視していて、なんと主要ブランドはみな国営です。例えば主要なブランドをあげていくと

  • コイーバ (葉巻の王様なんて言われますね。最上にして最高級メーカーです)
  • モンテクリスト (キューバノ全カストロ議長も吸っていたブランド)
  • ホヨー・ド・モントレー
  • パルタガス
  • ボリバー

葉巻吸いの人で、キューバンシガーを通らずに生きている人はアメリカ人くらいのものでしょう(アメリカはキューバと国交を絶っていて、輸入できないから)。これに関してもキューバの葉巻を彩るおもしろいエピソードがあります。

アメリカがキューバとの国交を絶つかどうか、という時期のことです。その時のアメリカの大統領だったジョン・F・ケネディは、スタッフに頼み、急いで一生分のキューバの葉巻を買ったと言います。で、その購入が完了した通知を受けて、国交断絶を言い渡した、と。

自分の分だけはしっかり買ってから国交を閉じたのです。それほどまでにキューバの葉巻は魅力的だったんですね。

最近国交正常化に向けて、アメリカ・キューバ間で輸出入が許可されました。これにともない、キューバの葉巻が大量にアメリカに流れています。これにより値上がりしていると、日本の輸入代理店も嘆いていました。

さて買いに行きましょう

キューバ、特にハバナにいれば葉巻を買うのは簡単です。路上を歩いていればいくらで声をかけられます。が、しかし、この路上で声をかけてくる人からは絶対に買わないで欲しいです。というのも、ほぼ100%偽物なんですね。通常1本2000円するやつを、300円くらいで売るというわけです。本物のわけがない。

「え、偽物と言ってもブランド物じゃないだけで、こだわらない人はそれでもいいんでしょ?」という意見もありましょう。しかし残念ながら、ここで言う偽物はブランド的に偽物なだけでなく、そもそも外だけタバコの葉で、中身はバナナの葉、なんてこともあるくらい、まったくタバコとしてなり立たない物さえあるのです。ようするに札束の1番上だけ本物っていうアレと同じです。

遊びで買うなら止めませんが……。ちなみにこういう安い葉巻を楽しみたければ、それはそれでやり方があります。それは別の記事で。

どこで買うか?

じゃ、どこで買うか? 初心者はパルタガス葉巻工場に行くのがいいです。ここはガイドブックにも必ず乗っているところで、葉巻ショップと工場が併設されています。ここで工場見学も出来、買うことも出来るというわけ。さすが工場なので、良い状態の葉巻を取り揃えており、カードも使えるのでまとめ買いにもオススメです。

ぼくも最初はここで買いました。

ほかにもハバナの旧市街に葉巻ショップが沢山あります。そういったお店は世紀の葉巻を取り扱っていて、信用できますが最初は見つけるのが難しい。ぼくも最初はパルタガスの葉巻工場で買い、それ以降は別のショップで買っていましたね。そっちでしか買えないおもしろいシガーがあったので。

何を買うか?

最初に買った葉巻たち。1番上のコイーバが1番高級で$25くらい。それでも日本で買えば5000円はするような葉巻。1番安いのは$10以下。本当、値段は上から下まで多種多様。お酒みたいでしょ?

 

葉巻の知識が少しはあって、欲しいものが分かっている人は自由に買ってください。日本で買うよりもずっと安いので、いつもは買えない高い銘柄のものを買って試すも良し、好きな銘柄を箱買いするも良し、です。ぼくはいろんな銘柄を少しずつ買いました。

初心者の人は何から買うか? どのブランドがウマいと思うかどうかは、もう好みなので「これを買え」とは言いにくい。高い酒がうまいとは限らないように、高い葉巻がウマいとも限りません。一応コイーバが最高! ってな風潮もありますが、そう簡単に言い切れるものでもありません。例えばぼくの好みだと「コイーバのシグロシリーズは好きだが、そうじゃないならモンテクリストの方が好き」です。でもそうは言っても、一応は葉巻の王様とまで言われているわけですから、数本買うならそのうち1本くらいはコイーバを入れてみてもいいでしょう。

だから直感と値段で決めればいいと思いますが、絶対にはずして欲しくない指標だけ……

太くて長いものを買いなさい

初心者ほど「わたしはよく分からないし、でかい葉巻はマフィアみたい。こっちの紙巻タバコと同じくらいの、細くて短いやつならカジュアルに吸えそうだ」と考えてしまいます。安いですしね。が、これはやめた方がいい。葉巻は太くて長いほど、味がマイルドで豊満になる。ひとことで言えば「葉巻らしい」味がする。どうせ入門するなら、あるいは体験するなら、葉巻らしいやつを試して欲しい。

じゃぁ、短いやつとか、細いやつがなんで存在するかといえば、

「長いのを吸うほどまとまった時間がないときに、太くて短いのを吸おう」とか
「葉巻が好きだけど、TPO的に葉巻だと煙が出すぎるから短くて細いので一服」とか

太くて長いやつの味を知っている人が、予備的に吸うようなイメージ。もちろん好きで吸っている人も多いのは知っていますが、初心者はこう理解した方がいいです。

具体的なブランド・銘柄を挙げると、定番ではありますが、モンテクリストの1番〜4番あたりなどコスパが良いと思います。まぁ、ぼくの好みですが。

キューバで過ごしたある夜。左に見えるのがこの日吸っていたモンテクリスト。キューバンラムと一緒に。

どうやって吸うか?

さてキューバで買ったのなら、キューバで吸ってみて欲しいところ。

葉巻は紙巻タバコのように、適当に火をつけて吸うというわけではありません。一応、火の付け方や吸い方というのがあります。それは探せば出てくるので、ちょっと調べてみてください。

で、大事なことはどこで吸うか、です。

キューバには屋外に座れるバーもたくさんあります。葉巻は煙の量が多いので、室内は許されていても避けた方がいいです(こういうのが前述した現代的なモラルだと思います。もちろんシガーバーのような葉巻のためのスペースはOKですが……)。見ていれば、他の旅行客やキューバ人も葉巻を吸っていますので、そういう人を見ながら吸う場所を探しましょう。

ぼくはもっぱら泊まっていた宿の中庭で吸っていました。

葉巻

ぼくにとっては紙巻タバコと葉巻はもうまったく別物です。ワンカップ大関と純米大吟醸酒よりも大きな開きがあります。

この嫌煙ブームのなかで、葉巻が好きだ、と訴えることはそれなりに気を使うことなのですが、好きなものは好きなので仕方ない。

日本にいたとき、1〜2週間に1度くらい、シガーバーで葉巻を吸っていました。紙巻タバコは吸いませんでしたので、ぼくにとってのタバコはその頻度。毎日吸うわけでもなく、中毒でもありません。本当にお酒と同じです。

少しいい気分の日、疲れた日、ひとりになりたい日、ひとりになりたくない日、何かに成功した日、失敗した日、そういうときにシガーバーに行って、数杯のお酒と1本のシガーを吸う。お酒の軽い酔いと、シガーからくる陶酔感、これがたまらない。

また考え事するには本当に良いです。片手にシガーを持って、ジーッと考えるのが好きです。

タバコ=煙い=吸う理由が分からない、と思う人もいると思います。もちろんそういう人にぜひ吸って欲しいとは言いません。でも、どうか毛嫌いしないでやってください。世の中にケーキ好きとか、ビール好きとか、ラーメン好きがいるのと同じで、タバコ好き、という人がいるだけのことなのです。

そしてそんなタバコ好きな人は、キューバの葉巻を試してみてください。できるなら、それをキューバで吸ってみてください。またちょっと違う葉巻体験になりますよ。

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