戦争・狩猟・闘牛を書き続けた “○○” だらけのヘミングウェー邸を見学

ヘミングウェーが好きならば、絶対に外せないのヘミングウェー邸の見学。ノーベル賞作家の暮らしぶりが見られるだけでなく、彼の嗜好を存分に見ることができるのです。


ヘミングウェーは戦争、狩猟、闘牛

ヘミングウェーの作品を読んだことがあれば、彼の作品のほとんどが戦争、狩猟、闘牛に関わっていることに気付くと思います。長編は戦争に絡んだ話が多いですね。短編だと、これに闘牛と狩猟か釣りの話題が加わります。

例えば

  • フランシス・マコーマーの短い幸福な生涯 (狩猟)
  • 橋のたもとの老人 (戦争)
  • 世界の首都 (闘牛)

という感じ。上の3作品は何度読んでも感銘を受ける短編です。これらの作品について語り出せば止まらないほど……。

そのヘミングウェーが長くキューバに住んでいたことは別記事でも触れていますが、その邸宅が「ヘミングウェー博物館」として一般公開されています。さっそく行ってみましょう。

ヘミングウェー博物館へ

アクセスはバスかタクシー。バスだと1時間くらいかかる上に、乗るバスを見つけるのに苦労します。スペイン語が話せれば楽勝なんですが、ぼくらは苦戦してしまいました。

バスに揺られて1時間。着いた場所は郊外の小さな町。郊外とはいえ、車の通りは多く、埃と排気ガスの多い場所です。

通りにいた少年たちに「ヘミングウェイは?」と聞くと、元気よく道を教えてくれます。キューバ人は本当に楽しい人たちです。1本道を入ると、グッと静かになります。そしてすぐに森が見えてくる。下の写真の奥にある森がヘミングウェイ邸です。門が見えますね。

奥に見える門がヘミングウェー博物館。

 

近くによると「Museo Hemingway」の文字が。その下にMinisterid de Culturr」と書かれていますね。推測するに「文化庁」的な省庁が管理・運営しているのでしょう。ヘミングウェーの遺言で、彼の資産の一部はキューバ政府に寄付されているので、これもその一環だろうと想像されます。

右手に見える建物で料金を払います。いくらだったかなぁ。小銭程度です。

 

中に入ると、木々に挟まれた静かな通り道。外の喧噪が嘘のような静けさです。

心地よい木陰を歩いて奥にある家へと向かいます。

 

そして見えてくるのが平屋の家。これがヘミングウェー邸です。空の青と、南国植物の緑が建物のクリーム色に映えますね。

大きな家ですね

 

建物の中には入れませんが、窓の多い平屋なのでぐるっと外から見学することができます。さっそくリビングルームを覗いてみます。風通しのいい広々としたデザインですね。チラチラ覗く剥製が気になります。

別の部屋。なんとまぁ、トナカイみたいなやつの頭が所狭しと並んでいます。人によっては「趣味が悪い」と言いたくなるようなデコレーション。圧巻です。

実はヘミングウェー自身、狩猟が好きだったんですね。これらの剥製は買ったものではなく、狩ったもの。他人から見ると「趣味が悪い」と思うものも、彼にとっては一つひとつが思い出深い狩りの思い出なのでしょう。

そして書斎はこちらになります。つまり彼が作品を書いていたはずの場所です。壁中の本、広々とした机、気分転換をするいくつかの椅子、日当たりのいい場所、心地よい風通し……。すばらしい書斎だと思います。

実は他人の書斎を見るというのは本当におもしろいんですね。その人の個人の部屋なので個性が出るし、良い仕事をするための工夫を垣間見ることができます。雑多な書斎もいいですし、整頓された広々とした書斎もいい。

誰だったかなぁ、池波正太郎だったかな……、和風の文机、座った作家本人よりも高く積まれた本の山、山、山。溢れんばかりの灰皿、転がっている万年筆、文机に広げられた原稿用紙……。ああいう書斎も見ていてワクワクします。ヘミングウェーが仕事をしていたときはどうだったのでしょうね? 今はもちろん博物館として整理されていますが……。

気分を変えて外に出ます。すると木漏れ日の落ちる1本道が……。

道を進むと、大きなプールが。今は水が抜かれています。

プールの横には根を張り巡らせた木が。凄い年代を感じさせますね。

さらにプールを通り越して進むと1隻の船が飾られています。これはヘミングウェーがコヒマル漁港に停泊させていた彼の船です。彼は釣りに行くとなると、この船に乗って海に出たのですね。

個人の釣り舟だと思うと、贅沢な1隻です。何よりかっこいいですよね。名はピラール号と言います。Key Westと書いてあるところを見ると、アメリカで作られたのでしょうか? Key Westはフロリダ最南端の町。キューバも目と鼻の先です。そこで作ってきたとしてもあり得るのではないでしょうか。

運転席というのでしょうか? 赤みを帯びた木製の部品の一つひとつが美しいですね。羨ましいです。

実は写真にはないのですが、邸宅をよく見るとヘミングウェーが従軍記者をやっていたときの制服などが展示されています。彼自身兵隊として戦争にも行ってますし、そこで瀕死の重傷を負ったこともあります。こうして見てみると、彼の作品のテーマである戦争・闘牛・狩猟というのも感じ取ることができるのではないでしょうか?

さて、家を出て戻ると、敷地内に土産物の売り場があります。まぁ、土産物は一般的なキューバの土産物で特筆すべきものでもないのですが、そこにおもしろいものがひとつあったのです。

ヘミングウェーが愛飲した? とされるサトウキビジュースの売り場なのです。こういう観光地のものは割高でうまくないことが多いので、素通りしようと思ったのですが、なにしろ喉が渇いていたので飲んでみることに。

ノンアルコールとラムを入れたアルコール入りがあるのですが、これがどちらも最高に旨い。

サトウキビも売り場の横で絞っている。絞りたてのサトウキビにハバナクラブをちょいとたらす。これがウマくないわけがない。ラムもサトウキビから作るので、サトウキビの酒をサトウキビで割った形になります。蕎麦焼酎のそば湯わりのようなもの。そりゃウマいわな。

好きなら損しない場所

ヘミングウェーが好きならば、行って損のない場所です。

ハバナに長く滞在するなら、都会を離れるきっかけになりますし、手頃な日帰りの遊びです。お金があるなら、キューバのクラシックカータクシーにでも乗って、オープンカーをぶいぶい言わせて来るのもいいでしょう。時間が有り余るほどあるなら、短編の1作くらいこの家のテラスで読んでみるのもいいでしょう。

ゆっくりした時間が流れる場所でした。

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