サービス精神のつもりが…… ペルー人に味噌汁を食べさせてみたら、思わぬところでオチがついてしまった
平凡だったリマでの生活に刺激を! カウチサーフィンで突撃、味噌汁訪問してきました。せっかく気に入ってもらえたのに、ぼくらは余計なことをしてしまったようです。
泊まらないカウチサーフィンで出会いを
カウチサーフィンをご存じでしょうか? 簡単に言えば旅先で泊めてくれる人を探せるサービスなのですが、実は泊まらないことも可能です。今回は泊まらないカウチサーフィンの模様をお届けします。
今回、ぼくらは宿には困っていない。居心地もいいし、値段もそこそこ安い。しかしちょっとリマでの生活に刺激がたりなかった。なんだかリマって居心地はいいけど、旅行的な楽しさはそれほどでもないんですね。行きつけのレストランがあったのですが、そこに行くためだけにリマに滞在しているような状況でした。
そこでカウチサーフィンです。旅の醍醐味は人と出会うこと。本当は偶然の出会い、流れの中での出会いが1番だと思うのですが、せっかくカウチサーフィンというサービスがあるのだからたまには使ってやろうと思ったわけです。
今回の目的は味噌汁を振る舞うこと。いつも見てくれている人はご存じだと思いますが、ぼくらは味噌を振る舞いながら旅をしています。
その様子は妻のブログに詳しく▶味噌玉世界旅 TAKE A SCOOP OF MISO WITH YOU
泊まらないけどスープを作りたいんだ!
「宿はいらないけどスープが作りたいんだ」という謎のメッセージを受けて、リマ在住のペルー人、ダビッドさんはレスポンスをくれました。ぼくらが滞在していた場所から車で30分ほどの場所に住んでいます。
広場で待ち合わせてみると、ダビッドさんはスーツ姿のおっさんでした。スープの材料が買いたいのだ、と伝えると市場を案内してくれることに。
チキンはチキンらしい姿でぶら下がっていました。
八百屋的なエリアに到着します。芋の種類が豊富で、これを見ただけでペルーでの芋の重要性が垣間見られます。
店のおばちゃんは突然やってきたアジア人に興奮気味。アレコレ説明してくれるのですが、つたないスペイン語の能力で、拾いきれません。
熱心な誘いを受けて、トウモロコシを買ったり、芋を買ったり……。お買い物は楽しいですね。
買い物を済ませて、彼の家に到着すると、そこはビルの屋上。首都リマとはいえ、すぐそこに山が見えるのが気持ちいいですね。東京とはまた違った風景です。
さて、味噌汁作りをするときに、最近恒例となっている「鰹節紹介」の時間です。味噌も鰹節も日本人以外には馴染みがなく、みんな興味を持ってくれるのですが、なにしろインパクトが強いのが鰹節。見せると「なにこれ? 木?」と首を傾げ、臭いを嗅がせると「魚? え、ウソ、魚なの?」と驚きの表情を見せてくれます。
そして味噌を見せる。大豆で作ったペーストで、こいつが日本のソールフードなんだぜ、と語って訊かせます。もう慣れたもので、我が物顔で語るぼくらです。
味噌と鰹節について語り終えるとダビッドさんは言いました。
「突然、日本人から連絡が来て『宿はいらないけどスープを作らせて』って言うから、なんだろうって思ってたんだよ。でもまぁ、作りたいなら作らせてやるか、って思っていたんだけど、今は君たちのやりたいことが分かったよ。本当に日本の伝統的な料理を食べさせてくれるんだね。今はすごく楽しみだよ!」
と興奮気味! やった。興味を持ってもらえました。実のところ興味を持ってもらうのが1番大切。そういう意味では大成功です。
味噌汁作り
さてさっそく味噌汁作りです。材料調達から味噌を振る舞うまでの様子は、妻がGigazineに寄港しています。そちらもぜひご覧ください。
白いトウモロコシが入った「インカ風みそ汁」をペルーでふるまってきた
こちらのブログでは超簡易版で紹介します。
材料はこんな感じ。鰹節削り器がいい感じ!
バァ、と切って煮込んで、最後に今回のスペシャル具材「餅」。
年越しで食べるべく持っていたのですが、食べるタイミングを逃し、ザックの重りになっていたお餅です。せっかくなので味噌汁に入れてみました。これで大食いのペルー人も満足のボリューミーな味噌汁になることでしょう。ぼくらなりのサービス精神のつもりでした……。
食べてもらうと上機嫌! ダビッドさんやら従姉妹やら、集まった人たちが喜んで食べてくれました。ダビッドさんは「ああ、たしかにスープに魚の味を感じるよ」と木のような鰹節を思い出してくれたようです。
ダビッドさんの従姉妹たちふたりは酔っ払って下ネタとスラングを連発します。
「この言葉を覚えなさい。#○!△□#○!△□#○!△□ さー、言ってみて!」
ぼくは仕方なく繰り返します。
「#○!△□#○!△□#○!△□」
ふたりは大爆笑。まぁ、聞かなくて意味は大体分かります。英語で言えばFワードのようなものでしょう。こちらも酒が入っていたので、聞いたその場で忘れてしまいました。忘れたかったのでちょうどいいです。
そんなこんなしていると、いつのまにか人は増えてきました。ダビッドさんの友だちと、今日ダビッドさんの家に泊まる、カウチサーフィン経由でやってきたブラジル人カップルです。
みんなにも味噌汁を食べてもらい、評判は上々。おなかいっぱいだからいらない、って言ってたブラジル人の女性もしっかり食べてくれました。
よせばいいのに……
「そうそう」
とダビッドさんの友だちは自慢げに「ぼくは空手をやっているんだ!」と話します。
「帯もあるから見て欲しいんだ」
おお、たしかに空手の帯です。身体付きもがっしりしていて、たしかに空手をやっていることはよく分かります。でも、あれ……?
「目本空手協会」
残念ながら日本の空手協会ではないのかも……。
「1本の棒が多いけど、大体あってるよ」と笑いながら教えてあげました。
ところで餅なんだけど
さて、みんなが味噌汁を食べ終えた頃です。みんなのお皿は空っぽで、大盛況に終わったはずなのですが……。
「ごめんこれだけは食べられない……」
ダビッドさんの従姉妹は餅を見せて言いました。
「なにこれ、オエっ! 気持ち悪い。これ米? オエっ! ムリムリ」
と過剰に気持ち悪さをアピールしつつ「でもスープは美味しかった。餅以外は大好き」と繰り返し言っていました。
なんだかぼくらのサービス精神は無駄に終わったようです。