旅行客の行かない場所に行ってみよう イキトスを抜けてサンタ・トーマスという村へ

ぼくらが滞在していたイキトスは、アマゾンツアーを観光資源としている街です。9割の観光客は現地のガイドを雇ってアマゾンへ、アナコンダやナマケモノを見に行くのです。そんな中、出不精なぼくらはどこにも行かなかった。それでもちょっとは冒険したい! それじゃ観光者がいなかような村に自力で行ってみよう。と思ったわけです。

ぼくらが目指したのはサンタ・トーマスという村。それが予想外のところへと運ばれてしまうのでした。


目的地を決めよう

観光者があまり行かないところに行こう、と言ってもどこがいいのか分からない。Lonely Planetというガイドブックを眺め、狙いを定めたのはイキトスの中心地から十キロ程度離れたサンタ・トーマスという村。ここはガイドブックにもほとんど説明がなく、ぽつんと「焼き物が作られている」と書いてあるだけ。

ここなら場所と距離が分かっているから行きやすいし、ぼくらの手頃な冒険心としては十分な目的地。観光客はあまり行かないようだし、行けば焼き物のひとつやふたつは見られるだろうと思えば、なんとなくおもしろそう。

冒険と言っても、バスが出ているようなので「それで一直線だぜ」という気楽な思いを抱いていたのです。

出発前に情報集め

無計画なぼくらはいきなり出発してしまいました。宿を出て、目の前でタクシーを停め、「サンタ・トーマスに行きたい」と告げると、困り顔。「いいけど、う〜ん……」と変な表情。「サンタ・トーマスに行くバス停に連れて行ってほしいんだ」と告げると、さらに困り顔。あまりに話が噛み合わないので、諦めて別のタクシーに聞くことに……。ところが、別のタクシーだって困り顔。

なんかおかしいので、すぐに宿に戻って、宿の主人に聞くことにしました。すると……

「それなら船で行くんだよ」

と言うのです。バスが出ているはずだけど、たしかに川はあります(地図には見えませんが、たしかにあるのです)。たしかに川を船で上るのも悪くなさそうです。なにしろアマゾンにいるのですから、その支流を楽しむのは正当なアマゾンの楽しみ方と言えるでしょう。

ってなわけで、ぼくらは船で行くことを決意して、改めて宿を出ました.タクシーを捕まえ「サンタ・トーマスに行きたい。港へ行ってほしい」と伝えると、手応えがありました。タクシーに乗って、港へ向かいます。

出発

なんでそっちに行くんだろう?

ぼくは比較的地図を読むのが得意。タクシーが走り始めてすぐに、進んでいる方向が想像と違うことに気が付きました。南に向かうはずなのに、北に向かっているのです。まぁ、港はそっちにあるのかな? と気にしないことにしました。そもそも辿り着くのが目的ではなく、こうやって冒険するのが目的なので、もし変なところに辿り着けばそれはそれでよし!、という旅です。

しばらく想定外の北に走り、港に到着しました。港の前は凄い活気。港の周りは市場になっていて、食事やジュース、土産物などが所狭しと売られています。こういう場所にしては客引きなんかもいなくて、比較的のんびりできる楽しい市場になっていました。

さすが川沿いで、魚が有名なようです。こんな感じでドカッと焼かれています。

市場にこういう虫の串焼きが売られていても、ぼくらはもう驚きません。写真を撮るのも忘れそうになったほど。マレーシアで、生きている虫をその場で焼いて食べるという体験をしているので、味まで想像できます。結構おいしいですよ。

芋虫を食べたときのことにちらりと触れています▶マレーシアでタコ釣り体験。結果はいかに。

アマゾン川にせり出す形で桟橋が延びています。市場のあたりで人に聞くと、サンタ・トーマス行きの船はこちらから出ているとのこと。それを聞いたとき「やっぱりサンタ・トーマスへの港はココで正しいのだ」と心底安心しました。タクシーの運転手さん疑ってごめんね。

桟橋の先には船がたくさん泊まっていました。サンタ・トーマスに行きたいと告げると、近くにいたおじさんが「こっちだ!」と案内してくれます。

「値段は?」

「2ソル」

安い。2ソルと言ったら1ドル程度です。ふたりで乗っても2ドル。距離にして10Km以上を船で移動してこの値段ならば、安いもの。さすがペルーの奥地。物価も安いのだ!乗り込むとライフベストもしっかり完備。いつ落ちても安心です。

小さなモーターがついています。ちなみに出発して早々、近くのガソリン販売所に行って、ペットボトル1本分のガソリンを買って補給していました。

こんな感じの木材を積む大型貨物船もいます。こうやって見ると川と言うよりも海のようです。

また、こんな飛行艇も見ることができました。飛行艇を見ると紅の豚を思い出しますね。飛べない豚はただの豚だ! のあれです。ちなみにあれの名台詞は

「いまにローストポークになっちゃうから」

でしょう。イタリアに行ってから紅の豚が大好きになりました。

出発して5分か10分ほどして村が見えてきました。この時点でおかしいとは思っていたのです。いや、正直に言うと船の料金が2ソルという時点でおかしいと思っていたのです。近すぎる。どう考えても直線距離で10Km。曲がりくねった川ですから15Kmくらいは船で上るはずなのに、そんな金額でいけるはずがないのです。

「ここ、サンタ・トーマス?」
「そうだよ」

これではっきりしました。イキトスの近くにはサンタ・トーマスがふたつあるのです。近いサンタ・トーマスと少し遠いサンタ・トーマスのふたつ。遠い方に行こうと思ったら、近い方に連れて行かれてしまったという次第です。

「もういいよ。せっかく来たし、ここを散策しよう!」

初めから目的地なんて適当に決めただけなので、方針を変えてこちらのサンタ・トーマスを楽しむことにしました。

サンタ・トーマス

村に近付いて行きます。子どもたちが水辺で遊んでいるのが見えます。電気は通っているようです。他には船がありません。

他に船がないと言うことは、ぼくたちが帰るときはどうしたらいいのでしょう? スペイン語が不得意なぼくらは込み入った会話ができません。とにかく「20〜30分で帰るから、待っていてほしい」とボートのお兄さんに伝えると、OKとのこと。

駆け足で想定外のサンタ・トーマスを散策します。

サンタ・トーマスは道(と言っても踏み固められただけの道)が1本あるだけ。その両側に家が並んでいるだけです。その道の長さだって100mあるかどうか。小さな小さな村でした。観光客など来たこともないでしょう。

家はこんな感じ。手作り感がありますね。実際、ぼくらが歩いているときに家の門を直しているおじさんがいました。自分のことは自分でやる、の精神です。

ドンドンと奥に進みます。あまり人の気配はしません。想像ですが、日中はイキトスの砲で仕事をしている人が多いのではないでしょうか。だから水辺にも船がなかったのでしょう。

井戸のようなものもあります。たしかに水には困りそうな立地なので、必要でしょう。

子どもたちを発見。よく見ると……

なたを使って器用に銃を作っています。おもちゃだって自分で作る精神です。それにしてもおもちゃが銃ってのはどこの国に行っても同じですね。日本でもエアーガンとか流行りましたもんね。

1件だけ人の気配がする家がありました。おばちゃんと子どもたちが集まって、団らんしていたのですが、ぼくらを見て「これ食べて行きな」と果物をくれました。名前を失念してしまいましたが、おいしい南国風の果物です。種が大きくて、周りをチュウチュウと吸う感じで食べます。

村の周りはマングローブ的な景観です。今は雨期なので、水量が多くこんな感じになるのでしょうけど、恐らく乾期になるとかなりの水が引いてしまうでしょう。そうなると今とは違った景色になるはずです。

写真じゃ伝わらないでしょうけど、ものすごい暑いのです。歩きながら「こりゃ長くいられない」と何度も愚痴ったほどです。村全体の散策は30分もかからず、のんびり船に戻ると、船のお兄さんも日陰で休んでいました。

帰る、というとまたご機嫌にOKと船を出してくれました。たぶん「このアジア人らは何をしにここに来たんだろう」と思っているはずです。

さらば、ぼくらのサンタ・トーマス。

おもしろかった

ぼくらは観光地よりも、地元の人の生活を見たいという気持ちの砲が強いので、こういう旅が本当におもしろい。何があったか? と言われるとなにもなかったのですが、ああして本当に生活している地元の人を見ると、なんだか少しだけこの国のことを知った気になれるのです。もちろん、ほんのひとつの側面でしかないのですけど。

もし長期の旅行をされる人は、ときどきこうやって「適当な場所に行ってみる」という冒険もおもしろいですよ。うまくいくときもあれば、いかないときもある。それも旅ですから。

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