治安が悪いボゴタの町で、唯一見つけた宿がまだ宿じゃないし、超ハッピーな場所だった
コロンビアの首都ボゴタへと来た初日。ボゴタは治安が悪いと聞いていました。段々と陽が暮れるものの、ホテルが見つからず……「このままじゃマズいな」と思い始めたとき、ふとした出会いで見つけた宿。それが、普通に探しても絶対に見つからない宿との出会いだったのです。
宿探しにつまづく
飛行機でアマゾンの町レティシアからコロンビアの首都ボゴタまでやってきました。さすが首都で、見るからに大きな町。宿探しなんてあっという間に終わるような気がしていました。
町に到着したのは夕方4時ごろ。治安が悪いと言われているボゴタなので、事前にちゃんと宿情報を調べておきました。旧市街にある手頃な宿です。ところがまずそれが見つからない。タクシーの運転手もぴんとこなくて、しまいには諦めるしかない状態に……。
(写真はみんな明るいときに撮ったものです。薄暗くなってきて、カメラを出せる状態ではなかったので……)
少し歩き回ってみるも宿は見つかりません。じもとのコロンビア人に声をかけてみると「あっちに安宿が沢山あるよ!」とのことでした。さっそくそこに向かうと……、めちゃくちゃ治安が悪そうな気配。すでに日が暮れ始めていて、その「安宿がある」という場所に近付くと大麻の匂いがプンプンする。通り自体は飲み屋街で、人が多い。
あまり大荷物をもって歩きたい雰囲気ではありません。そこで、その道には入らず、大きめの通りをウロウロ。また別のコロンビア人のおばちゃんに訊くと「あそこのファティマって宿がいいよ」と言います。近付くと、たしかによさげな宿! ドミトリー中心の宿らしいです。ロビーにはバックパッカーがたくさんいて、みんな談笑しながらスマホを使ってる。どうやらWi-Fiも快適らしい。
ここだ!
と決めて「部屋かドミか、あいてる?」と訊くと、宿のスタッフは「ソーリー、今日は埋まってるのよ〜」とのこと。なかなかうまくいかない、と困っていると、怪しいお兄ちゃんが寄ってきました。
ズボンを下げて、いかにも今どきの若者風のお兄ちゃん。でも年齢はそこそこです。彼ひとりだったら、たぶん治安の悪さもあって、彼のことは無視したと思うのですが、横には同じく若い女性がいて、そちらは真面目そうな風貌。しかも犬を連れている。要するに犬の散歩中のカップルという風采です。
「ホテル探しているの? もし良ければ、ぼくのところくる? 友だちがホテルをやってて、なんにも洒落っ気も、飾りっ気もないけど、とにかく安いんだ。ぼくもそこのビジネスを手伝っててさ」
なんか怪しいですが、人は良さそう。ついていくことにしました。
宿に到着
案内された中に入ると、独房のような小さな部屋、掃除の行き届かない通路、でも各部屋には人の気配。泊まるならこの部屋だよ、と部屋を開けてくれたのですが、中にはギターを持ったコロンビア人の若者が……。
「もちろん、君らが泊まるのなら彼は出てくよ」
そりゃそうだ。あまりの怪しさに最初は断って、出て行きました。しかし外に出て、他のホテルに当たるも、高すぎたり、埋まっていたり、でうまくいきません。最終的にはこの怪しい宿に戻ってくることに……。
部屋でギターを弾いていた男性は追い出され、2階に移動していきました。そして空けてもらった部屋にぼくらは泊まることに……。たぶんこの辺の宿で最安値の宿。
写真の左奥にカーテンで仕切ったスペースがありますが、そこがトイレ兼シャワースペース。よくもまあ、こんな狭いところにトイレとシャワーを押し込んだもんだ。ドアもありゃしない。
でもとにかく部屋には入れてひと安心。
なんだこの宿?
1泊していろいろ分かりましたが、この宿、本当にピースフルな宿でした。どれくらいピースフルかというと……
- 宿のオーナーだという青年やぼくらを案内してくれたお兄ちゃんなど、朝からギターを弾きながらマリファナでハッピー
- 夜はみんなでギター弾きながらハッピー
ってな具合。でも騒ぐわけでもなく、静かにおとなしくハッピーになっているようでした。マリファナの臭いがする以外は何にも気になりませんでした。むしろ朝から妙にうまいギターの音が聞こえるのがおもしろいと思えたほど。
宿、宿、と書いていますが、聞くところによると、まだ宿としてオープンしていないようです。半分は推測ですが、宿を始めようと思っているけど、まだ改装などはできておらず、かといって部屋を余らせておくと家賃がもったいないから、友だちなんかを部屋に住まわせてシェアハウスのように使っているようです。
で、治安の悪い町で宿を見つけられずフラフラしているぼくらを見かねて、助けてくれた、とそういうわけ。金額についても、圧倒的な安さ(近隣で最安と言われている宿がドミトリーで25000ペソと言われている中、ここはふたりで30000ペソ)。つまり心底、良心で泊めてくれていたというわけ。
主役級の犬
で、最初に出会ったときに散歩していた犬というのがちょっとした有名犬だったのです。
たしかにかわいい犬で、犬猫大好きなぼくはじゃれて遊んだりしていたのですが、飼い主曰く「知り合いのアーティストが、近くの壁に大きくこの犬を描いてくれたんだ! 良かったら見てくれよ!」とのことです。
不覚にもその犬の写真を撮るのを忘れてしまいましたが、壁画の写真は撮りました。
このKiraというのがその犬です! かわいいはつらつとした犬でしょ?
ボゴタでこの壁画を見たら、洞穴のような、マリファナの香る、宿になりきれない宿で、この犬が元気に走り回っているところを想像してあげてください。
ちなみに
ここでは治安のせいでホテル探しに苦労しましたが、トルコやイタリアでは物価のせいで苦労しました。その様子はこちらの記事で。