笑い話じゃないけど笑い話 ボゴタでアレを盗まれた話から得る2つの教訓

コロンビアの首都ボゴタの治安の悪さを象徴する、でも結果的に問題はなかったと言える事件に遭遇したので、ご紹介したいと思います。聞いたときはちょっと笑ってしまう話でしたが、考えてみると結構怖い話なのです。そしてぼくらはふたつの教訓を得ました。


いかにも治安が悪い町

ボゴタという町は、歩いていると随所に “治安の悪さ” を感じさせるなにかが転がっています。1番分かりやすいのはマリファナの臭い。タバコでもない、お酒でもない、マリファナの臭いをあちこちで嗅ぐことができるのです。

マリファナ=治安が悪い、と決めつける必要はないのですが、少なくとも合法ではないものが、堂々と吸われているというのは、やっぱり気持ちが良いものではないですし、怪しいお兄さんやおじさんが「マリファナあるよ」と寄ってくるのは、どうしても「怖い」という印象を高めます。

また暗くなるとグッと雰囲気が悪くなって、男のぼくでさえ、ひとりで出歩くのは嫌だなァ、と心底思います。

ラテンアメリカの他の地域に比べて、特別に治安が悪いわけではないはずなのですが、若い人が多いからか、楽しさや明るさがある一方で、裏返した影の部分も浮き彫りになっている印象でした。

日本人との出会い

ファティマという宿に泊まったときのことです。ここは日本人が山ほど来る宿で、ぼくらも何人もの日本人らと出会いました。

その中の1人と出会った日のことです.

「じつは大変な目に遭ったんです」

彼が言うには「ひったくりに遭って、追っかけたけど、ザックを持っていたから重くて追いつけなかった」のだそうです。

宿に向かって歩いていたら、浮浪者が寄ってきて物乞いしてきた、と。得体が知れないので、無視する形でその場を去ろうとしたら、浮浪者が荷物をひったくって、走って行ってしまったというのです。

「え!? サイフは? パスポートは? 怪我はなかった?」

とぼくらは慌ててききました。だってついさっき盗まれたと言うから、もしかしたら動転してカードの停止処理を忘れているかと思ったのです。

「いや〜、盗まれたのパンなんです」
「パン?」
「そう、パン。お昼ごはん用にそこで買ってきたパンが入った袋を盗まれちゃって、悔しくて悔しくて」
「いやいやいや、パンだったら追っかけないでしょ! 追いかけてパンのために刺されたりしたらどうすんの!?」
「ですよね〜気が動転してて」

とまぁ、ふたを開けたらパン泥棒が現れたという話だったのです。

笑い話で済んで良かった

その場は完全に笑い話になったものの、ふたつの教訓を得ました。

教訓1. 物乞いは盗まない、はウソ

ぼくらの2年近い旅の経験で物乞いは物を乞う人であって、犯罪者ではない、と思っていました。根本的に犯罪者と物乞いは別である、と。それはもちろん今でも思っているのですが、この考え方は油断を生みます。

例えばインド。物乞いは山ほどいます。みんな寄ってきて「金をくれ」「食べ物をくれ」と言います。触って来る人もいます。通せんぼする人もいます。だけど、不思議とひったくりはしない。だから物乞いに対して、そんなに敵対心や警戒心はなかったのです。

しかしコロンビアでは物乞いが物を盗む。これはすごくぼくらにとって象徴的なできごとでした。

教訓2. パン泥棒でも人は動転する

どんなに「自分は強い」と思っている人でも、予期せぬ事件に巻き込まれると気が動転します。気が動転すると、冷静ならやらないことをやってしまう。それが二次災害を生むわけですね。

今回の件、なんと言ってもただのパン泥棒です。金額にして数百円でしょう。それを盗まれて、追いかけ、仮に追いつけたとして、振り返りざまに刺されたら、と冷静なぼくらは考えてしまいます。刺されなくても、殴られるかもしれない。または仲間がいて、もっと何かを取られるかもしれない。

「悔しいけれど、パンはあげてしまおう」

これが冷静な人の考えです。でも、そのたかが数百円のパンでも人は冷静さを欠く。これがもしもっと大きな事件だったら、例えばパンじゃなくてサイフだったら、パソコンだったら、スマホだったら……。「いや、自分は冷静でいられるよ」という自信はなくなりました。

パン泥棒でも人は冷静さを欠くのです。

結果的に笑い話

結果的に笑い話でした。これはぼくらにとって、ある意味で凄く良い話です。というのも笑い話だけど、話すたびに「うん、気をつけよう」と気を引き締める、帯の役目になるのです。

みなさんも、外国に行かれる際は、このパン泥棒の話でも思い出してください。

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