新婚旅行の初夜にオーロラソースのパン ベネズエラで会ったカップルに考えさせられる

新婚旅行ってなんのためにするんでしたっけ? ベネズエラで出会ったカップルとの短い会話の中で、そんな基本的なことまで考えさせられてしまいました。


宿のキッチンは交流の場

キッチンつきの宿というのは、独特の需要があります。なにしろ短期の旅行だったら食事くらい外で済ませてしまいますからね。キッチン付きの宿は必然的に長期旅行者、あるいは短期旅行だけど自炊したいくらい節約旅行をしている人に人気が出ます。

ぼくらが滞在している宿もキッチンつき。決してオシャレなキッチンではありません。凸凹になった鍋、焦げがこびりついて二度と取れないようなフライパン、使い込まれて凹んでいるまな板、欠けたコップ、不揃いの食器……、そういうものが雑然と並んでいるキッチンです。

よしもとばななの『キッチン』の主人公、“みかげ” だったら、きっと好きになるキッチンなんだろうな。徹底的に使い込まれているけど、決して不潔ではない。今までここに滞在してきた客たちの痕跡を残し続けてきたようなキッチンです。

ひとりの女性がオーロラソースをつくる

ぼくらが、そのキッチンのテーブルで食事をしていると、ひとりの女性がやってきて、ケチャップとマヨネーズを混ぜたオーロラソースを作り始めました。

そしてその辺のパン屋で買ってきたパンを切って、その中に塗り込んでいきます。小ぶりのパンが5つ。そのうち、男性がひとり来て、男女ふたりで食べ始めました。

男性が3つ、女性が2つ。分け合って、オーロラソースを挟んだパンを食べ始めます。

なんと彼ら、英語が話せる。そこで話をしてみると、なんとふたりは新婚旅行中だというのです。しかもその1日目。お金がないから結婚式もやらず、婚姻届だけ出して、4日間の休みをとって、国内を旅行しているのだと言います。

その第1日目の夕食が3つと2つに分けたオーロラソースのパンです。

その様子が、全然卑屈でもなく、ただ楽しそうで幸せそう。「結婚おめでとう」と声を掛けると、嬉しそうに笑います。年齢を聞くと、まだ二十歳。

なんだか新婚旅行というと「パーッと華やかに」みたいな風潮がありますが、そんなことは全然ないんですね。日本で言えば、新婚旅行で熱海の “台所付き旅館” に行く感じでしょうか。そこで白米に卵と醤油をかけて夕食とする、みたいな……。

なんだかむしろステキじゃないですか?

ぼくは温かい気持ちになりました。

ブログランキング・にほんブログ村へ