旅を振り返って印象に残っている5つの出会いたち 足首にオオカミの骨をつけた無邪気な男
旅は出会いだと言うけれど、2年旅してみてやっぱり「旅は出会いだったな」と確信することになった。出会いにランキングは付けたくないので、それはしないけど、旅中での出会いで印象的だった5人を紹介してみたいと思います。またどういうきっかけであったかも書いていくので、これから旅する人が誰かと出会うきっかけになれば、と思うのです。
やっぱり出会いは旅を彩る
旅を終えた人の多くが「旅は結局出会いだよ」と言いますが、本当にその通りです。どんなキレイな海も、歴史的建造物も、強大な自然も、出会った人たちに叶いません。
極端な話、あれこれ観光スポット巡りで忙しくなるくらいなら、1つも観光スポットに行かず、ガイドブックにも載らないような村に行って、その村の人と交流しながらのんびり過ごすほうが、思い出深い旅行ができると思います。
どんな人と、どんなところで出会ってきたか、短く語っていきたいと思います。
モンゴル:最初にして、超印象的な出会い!
ぼくらの旅の最初の目的地はモンゴルでした。日本から飛行機で飛ぶと高いので、北京まで飛行機で行き、そこからバスと電車を乗り継いで、モンゴルに入国しました。
その中国〜モンゴルの電車の中でモンゴル人と仲良くなったのです。
彼らは中国でぬいぐるみなどを仕入れて、モンゴルの首都ウランバートルの路上で広げられた的屋(ゲーム屋)の景品にする商売をしていました。ほとんどまったくと言っていいほど言葉は通じず、会話と言えば持っていた簡単な辞書を片手に指差し会話。
電車で知り合って終わりかと思いきや、連絡先なんかも教えてくれ、あとで再会することに。想像できますか? まったく言葉が通じないぼくらを家に上げてくれ「好きなだけ泊まっていきなよ」といってくれる心の広さを。
写真左から2人目がバットタクという男。彼は赤ちゃんのように純粋で、辞書や地図を覗き込んで、単語をひとつひとつ教えてくれます。
「これは犬!」「これはひつじ!」
「それでね」と自慢げに足にぶら下げている骨を見せてくれる。「これはオオカミの骨。ぼくが獲ったの!」
無邪気なバットタクにまた会いたいなぁ。
マレーシアの家族
ぼくらが初めて本格的にWorkaway(ボランティアする代わりに家に泊めてもらえるサービス)を活用した出会いでした。
マレーシアのボルネオ島にある海沿いの小さな村にこの家族は住んでいます。彼らもWorkawayをやるのは初めてで、お互い探り探り。本当に家族として扱ってくれて、娘の送り迎えをさせてくれたり、いろんなマレーシア料理を食べさせてくれたり……、今でも迷いなく「ぼくらのマレーシアの家族だ」と言い切れる人たちです。
周囲に住んでいる別の家族たちも毎日のようにやってきて、ぼくらに変なものを食べさせて喜んでみたり、日本のことを知りたがったり、と毎日がパーティー。
娘の彼氏に会ったり、夫の職場に連れて行ってもらったり、一緒に蛸釣りしたり、毎日が思い出です。
▶ 告知:TravelersBoxで連載記事が公開 今回はマレーシアのある家族の話です
▶ 【69日目】マレーシアで村長さんに誘われて結婚式へ
インドの怪しいおじさん
インドでは本当にたくさんの出会いがありました。そのきっかけは上の写真左の日本人の男性Yさん。彼はインドのブッダガヤ通でして、彼を通じて多くのインド人・日本人と知り合いました。
その中でも印象的だったのが写真右の男性インデラさん。彼は毎日ブッダガヤをブラブラブラブラと歩き回り、知っている人を見かけると雑談する。で別れるとブラブラブラブラと歩き回ることを毎日繰り返しています。
彼と知り合い、彼の奥さんが超料理がうまいことを知り、ぼくらは奥さんにお願いして、チキンカレーを作ってもらいに行ったものです。ぼくらが材料を買うために、チキン屋に行ったら、目の前で殺すところから始まるという洗礼を受け、インドの田舎の生活をすごく身近に見ることができました。
息子と娘がいて、ふたりは本当に真面目に育っていて、親思いだし、仕事熱心だし、本当に、インド人ってタフなんだな、と思った出会いです。
ネパールで出会ったシェルパ族の料理人
ネパールでヒマラヤトレッキングをやったとき、ヒマラヤ山脈の奥地の村に住むソナンさんというシェルパ族の男性に出会いました。
彼はこの村の宿で料理人として雇われていて、ぼくらが着いたときは「客がいないから」と言って酒を飲んでいました。「お酒飲んじゃって……」と反省した表情で語る彼を見て、「この人は絶対にいい人だ」と笑った記憶があります。
彼はその後しばらく長い昼寝をして、起きると真面目に夕食の用意を始めてくれました。そしてこの村のこと、周囲の山のこと、シェルパのことをいろいろ教えてくれました。
みなさんご存じの通り、ネパールでは大地震があり、ヒマラヤ山脈でも多くの被害が確認されています。彼の安否が気になるのですが、確かめるすべもなく……。アンナプルナ・サーキット・トレッキングの途中にある、アッパーピサンという村の宿です。
もしなにか情報があれば、どうか教えてください。
アンナプルナ7日目〜最高の山岳料理人シェルパ族の料理を食べる
キューバで出会ったハッピーファミリー
キューバには政府公認のホームステー制度のようなものがあります。Airbnbをご存じならば、政府公認Airbnbと言った方が分かりやすいでしょう。つまるところ、お金を払い、キューバ人の家庭に住まわせてもらえるというわけです。
ぼくらもこの制度を利用し、キューバに1ヶ月滞在しました。そこで、滞在の大部分を占めたのが写真の家族の家でした。本当に偶然で、ただオールドハバナを歩き回り見つけた家だったのです。清潔感があって、人も良さそうということで、ここに決めたのですが、その付き合いは思ったよりも深くなりました。
写真右の娘が本当に良くしてくれて、Miaがスペイン語を教わったり、その彼氏がやってきて、彼氏が英語を話せるのでハバナを案内してくれたり、キューバンミュージックを見に連れ出してくれたり、本当にありがたい出会いでした。
娘は歯科医になりたいと勉強中で、息子は獣医になりたいそう。教育が無料であることの津酔いを実感した滞在でもありました。
キューバ滞在の総括 ぼくが1ヶ月キューバに滞在して何を思ったか
良い出会いも悪い出会いも
ここに挙げたのは、もう無条件に「良い出会い」です。だけど、本当のことを言うと不愉快な出会いだってありました。そりゃそうです。人間ですから合う合わないもありますし、犯罪者と出会うこともある。
まぁ、犯罪者は抜きにしても、合わない人ってのもいるものです。「この人は苦手だな」「早く別れたいな」と思うこともありました。
でも、後悔しているかって聞かれれば、そんなことはないんです。嫌な思い出も、ちょっと時間が経って振り返って見ると、話のネタになるという意味で「良い思い出」になっていたり、そこまで言わなくても「良い話のネタ」くらいには消化(=昇華)できているものなんですね。
「良い出会いの仕方」というハウツーは分かりませんが、ひとつアドバイスできることは「人に頼っていいんだ」ということ。分からないことを聞いて、手伝ってもらって、ちゃんと「ありがとう」って言う。で、向こうが困っていることがあるなら、手伝ってあげる。
「助けて」とか「手伝ってほしい」って言うことが、実は良い出会いを生む1番の方法なんじゃないかな? と思うのです。